「難病医療法」の施行(2015/01/19)
2015年1月1日から「難病医療法」が施行され、難病も新しい時代を迎えたことになる。5日の南日本新聞では「難病助成新制度始まる」という見出しで、県健康増進課が「助成は申請日からとなる。指定医と相談の上、すみやかに提出してほしい」というコメントを発している。県の推定では指定難病が110疾患に拡大したことで県内の対象患者数を15,000から20,000人と予測しており、56疾患の13,700人から大幅に増えるものと推定している。
また8日の日経新聞では、「医療の安全・患者救済 今年は?」という見出しで、「助成疾患5倍に」という小見出しである。そして「難病患者に朗報になりそうなのが、1月1日に施行された難病医療法。患者への支援を手厚くする内容で、国が指定する難病はこれまでの56疾患(約78万人)から約300疾患(約150万人)に増える。・・・今後残りの約190疾患が決まるが、どのような疾患が指定されるのか患者団体などが注目する」としている。
「厚生労働(2015年1月号)」では特集記事で、「総合的な支援が始まります!新たな難病対策」を取り上げている。ちなみのこの号の表紙は、女優の優香さんである(添付)。
まずPart1が難病対策を理解する5つの質問、Part2が難病患者および家族へのよりよき支援に向けてというもので、医療関係者2人(私と五十嵐隆独立行政法人成育医療研究センター理事長・総長)と患者・家族関係者2人(伊藤たてお一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事と小林信秋認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長)が、それぞれの立場から意見を述べている。
私への取材は昨年の11月28日に、東京の「日本医療企画」で一時間ほどインタビューが行われ、その内容をライターがまとめてくれている。
その概要をここに要約してみる。
まず、私は今回の難病法を四つの点で評価している。一つは対象疾患が拡大し、難病患者の間に根強かった不公平感が少し緩和されたこと、かつ300疾患は固定したものではなく定期的に見直しを行っていくこと、二つ目は従来は予算事業であったために自治体の負担が大きかったが、法制化したことで国も義務的に費用を負担することになり、財政的な安定が得られること、三つ目は相談事業や患者の自立支援など総合的な患者支援策に本格的に着手できること、四つ目が難病や難病患者への国民の理解が深まることが期待できるということを挙げた。
また新しい制度では、患者は難病指定を受けるために国の指定した指定医の診断を受けることになり、より高精度のデータベースの構築も期待できる。
最後の部分が少し誤解を受けかねないが、次のような書きぶりになっている。
難病の多くは遺伝子の異常によって起きる病気ですが、世界的に診ても、遺伝子の異常は全人口に対し、一定の割合で発生することが判っています。多くの人が健常でいられるのは、誰かが背負わなければならない遺伝子の異常を病気の人が引き受けてくれたからなのです。そうした視点に立ち、健常者が病気の人を支え、共生していく社会がつくられることが望まれます。この難病法を実効あるものにし、そうした社会づくりに生かしていくことが今後の目標だといえます。
私がちょっと気になったのは、「難病の多くは遺伝子の異常によって起きる病気ですが」の部分で、「多く」を拡大解釈する人がいるのではないかということである。あくまでこの部分の後段の箇所を強調したかったために使ったのであるが、正確には「難病の中には・・・」とした方がよかったのかもしれない。ただ現在個人の全ての遺伝子が短時間に安価で判明する時代になり、今後は遺伝子(遺伝子操作による治療)という問題を、前向きに新しい視点で考えなければならなくなったのではないだろうか。
また8日の日経新聞では、「医療の安全・患者救済 今年は?」という見出しで、「助成疾患5倍に」という小見出しである。そして「難病患者に朗報になりそうなのが、1月1日に施行された難病医療法。患者への支援を手厚くする内容で、国が指定する難病はこれまでの56疾患(約78万人)から約300疾患(約150万人)に増える。・・・今後残りの約190疾患が決まるが、どのような疾患が指定されるのか患者団体などが注目する」としている。
「厚生労働(2015年1月号)」では特集記事で、「総合的な支援が始まります!新たな難病対策」を取り上げている。ちなみのこの号の表紙は、女優の優香さんである(添付)。
まずPart1が難病対策を理解する5つの質問、Part2が難病患者および家族へのよりよき支援に向けてというもので、医療関係者2人(私と五十嵐隆独立行政法人成育医療研究センター理事長・総長)と患者・家族関係者2人(伊藤たてお一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事と小林信秋認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長)が、それぞれの立場から意見を述べている。
私への取材は昨年の11月28日に、東京の「日本医療企画」で一時間ほどインタビューが行われ、その内容をライターがまとめてくれている。
その概要をここに要約してみる。
まず、私は今回の難病法を四つの点で評価している。一つは対象疾患が拡大し、難病患者の間に根強かった不公平感が少し緩和されたこと、かつ300疾患は固定したものではなく定期的に見直しを行っていくこと、二つ目は従来は予算事業であったために自治体の負担が大きかったが、法制化したことで国も義務的に費用を負担することになり、財政的な安定が得られること、三つ目は相談事業や患者の自立支援など総合的な患者支援策に本格的に着手できること、四つ目が難病や難病患者への国民の理解が深まることが期待できるということを挙げた。
また新しい制度では、患者は難病指定を受けるために国の指定した指定医の診断を受けることになり、より高精度のデータベースの構築も期待できる。
最後の部分が少し誤解を受けかねないが、次のような書きぶりになっている。
難病の多くは遺伝子の異常によって起きる病気ですが、世界的に診ても、遺伝子の異常は全人口に対し、一定の割合で発生することが判っています。多くの人が健常でいられるのは、誰かが背負わなければならない遺伝子の異常を病気の人が引き受けてくれたからなのです。そうした視点に立ち、健常者が病気の人を支え、共生していく社会がつくられることが望まれます。この難病法を実効あるものにし、そうした社会づくりに生かしていくことが今後の目標だといえます。
私がちょっと気になったのは、「難病の多くは遺伝子の異常によって起きる病気ですが」の部分で、「多く」を拡大解釈する人がいるのではないかということである。あくまでこの部分の後段の箇所を強調したかったために使ったのであるが、正確には「難病の中には・・・」とした方がよかったのかもしれない。ただ現在個人の全ての遺伝子が短時間に安価で判明する時代になり、今後は遺伝子(遺伝子操作による治療)という問題を、前向きに新しい視点で考えなければならなくなったのではないだろうか。