Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

万歩計の電池が切れた(2015/01/09) 

「ここでは時計以外のものは扱わないことにしております」という、つれない女性店員の言葉である。テルモ万歩計(正式名称はテルモ歩行強度計、メディウオーク)の電池の容量が少なくなったというシグナルが点滅したので、1月4日(日曜日)の昼過ぎに山形屋4階の時計コーナーに駆け付けたのだった。「3か月ほど前には、ここで電池の交換をしていただけたのですが」と食い下がると、「精密機器ですので、もし不具合になったときに保証しかねます。テルモか電気店でお願いします」という返事である。
 世の移り変わりは早く、天文館地区の電気店はベスト電器まで撤退してしまったので、今や一つもない。数か月前にやはり電池交換のために天文館のある老舗の時計屋さんに行ったら、山形屋を紹介されたのだった。この時には特段何の問題もなく、800円ほど払って取り替えてくれたのに・・・。結構高くつくものだとは思いながらも、それなりに山形屋には感謝したものだった。
 仕方なく、病院に引き返して精密ドライバーを使ってネジを回すと簡単に外蓋が外れ、CR2032というリチウムボタン電池が出てきた。早速、病院から数分の場所にあるニシムタの電気コーナーに行くと、一個250円で売っていた。後のことも考えて3個買ってきて、そのうちの一個を取り付ける(置くだけ)と、難なく動いた。この万歩計、過去一月のデータや平均値などさまざまな機能が内蔵されているので「精密機器」であることは認めるが、「保証しかねます」には笑止千万で、私的には山形屋への印象が途端に悪くなった。
 ところがである。
 翌朝5日に万歩計の数字を見ると、4日の歩数に5日分を合算した数字が記録されている。記憶をたどれば前回も、電池を替えた翌日はゼロから始まることなく、一日だけ電池を交換した日の記録がスキップしたように記憶している。翌々日の6日の朝、万歩計を見るとちゃんとゼロから始まっていてホッとした。科学的なデータを毎日記録しているわけでもないので電池交換日に一日スキップすることは構わないが、製品としてはいかがなものかと思い、セイフティマネジメント研究会を通じて懇意にしているテルモの鹿児島支店長にメールした。早速、「改善点のご指摘ごもっともです。製品開発窓口にフィードバックさせていただきます」という返事が戻ってきた。今冷静に考えると、山形屋の対応もこれらの問題を含んだうえでの対応だったとしたら、少しは納得のいく思いに変わった。
 一連の出来事、特に山形屋の対応に思いをはせると、病院での救急患者への取り扱いと相似形にある。「私はこの病気は専門ではありませんので、責任を負いかねます。他の病院に行ってください」と言うものである。確かに一理はあるが、患者側からすれば不満が残る。せめて門前払いすることなく一応診てもらってから、どうしても自分の手に負えないと判断したとき他の病院や医師に紹介するという手続きを踏んでもらえば、感謝することはあってもクレームにつながることはない。山形屋の対応も、精密機械で専門外だから後で不具合があったときに文句を言われたらたまらないと思ったのか、単に面倒くさく感じたのかはわからないが、私としては大きな不満が残った。結果的には三分の一のコストで「めでたしめでたし」に終わったわけなので、断ってくれて助かったのであるが。
 ところで万歩計依存症は昂じてマニアックになり、ソニーのNFCリーダーまで購入(中央駅のビッグカメラで)して、データ管理が即座にできるようになっている。もう「病気」である。