Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

総合病院と専門病院(2015/02/17) 

最近、二つの文章が私の「琴線」に触れたので、紹介したい。
 Asahi Medical 2月号に、上 昌広さん(東大医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授)が、「日本版NIHは役所のしがらみを打破できるか」という一文を寄せている。上さんはかねて「歯に衣着せぬ」発言でよく知られている論客で、福島原発への対応やSTAP細胞などについても鮮やかな論陣を張ってきた。
 その上さんの小文の後半の一節に次のような部分がある。
 東京など大都市圏では、総合病院と専門病院の競争力には大きな差がある。例えば、「手術数でわかるいい病院2014」(朝日新聞出版)によれば、都内で大腸がんの手術数が最も多いのはがん研有明病院の602件で、都内の大学病院で最も多い東京女子医科大学(271件)とは大差がついている。
 この状況は、流通業界で百貨店が専門店に淘汰されていったことと酷似する。消費者の目が肥えたためだ。医療界でも患者の医療に関する関心が高まり、その知識が増えるにつれ、同様の変化が起こりつつあると考えるべきだろう。
 都内には複数の専門病院があり、切磋琢磨している。このような専門病院の競争を勝ち抜いてきた病院の診療レベルが上がるのは当然である。注目すべきことは、このような専門病院の多くが民間の医療機関であることだ。(原文通り)
 ちなみに鹿児島県DPC病院の大腸がんの手術件数(平成25年度)が南風病院の184件、鹿児島医師会病院の133件となっている。先日の日経の集計では、化学療法なども含めて大腸がんの全患者数を集計していたので、鹿児島県では医師会病院のみがランクインされており、残念ながら南風病院は落ちてしまっていた。ちなみに大学病院は手術件数76件である。
 ちょっと飛躍した引用になるが、現在連載中の「私の履歴書」(11)は、日揮グループ代表の重久吉弘さんであるが、次のようなくだりがある。
 大きな構造変化は小さな予兆を示しながら、ゆっくりと進行し、最終的には非連続的な変化として私たちの前に突然姿を現す、というものである。
 よく言われるところの「茹でガエル」と同じ内容で、医療界の動きにも通じるものがある。医療界はすさまじい速さで医療制度改革が進行しており、対応を見誤ると大変なことになる。また患者さんもインターネットやスマートフォンで、医療情報や病院情報を瞬時に得ている。
 我々は常に国の政策をチェックし適切に対応しながら、またホームページなどを使って患者さんに正しい情報を提供し、当院の立ち位置を常に確認していく作業を怠ってはならない。