Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

祖父江逸郎先生(中)(2015/03/18) 

その後は「高齢者の健康」についての話になったが、ご自身の経験も織り交ぜながら、実に叡智に富む含蓄のある話なので、覚えている部分をお伝えしたい。私が講演の中で「天寿」という言葉を使ったこともあって、「私は『天寿を生きる』というタイトルの新書を書いていますので、そのうちに送ります」と言われた。
 帰ってからインターネットでこの本のことを検索すると、次のように要約されている。私との話の内容とも重なる部分も多いのでまず紹介したい。
 ・・・天寿は人為的にどうこうできるものではない。言ってみれば天から人類に与えられたもので、人間は生まれたときには誰しも、天寿をまっとうしうる可能性を秘めている。しかし、生まれてから始まるこの世での生活を続けるうちに、自然環境や自分たちが作った社会環境の影響、細菌やウィルスなどの微生物からの攻撃、さらに各人の心の動き、気持ちの持ち方などライフスタイルの進め方によって、それぞれ人間の寿命は千差万別に分かれてしまう。つまり人間には、人類に備わった終極の限界寿命としての天寿と、各個人が様々な条件のもとで最終的に享受する個人の天寿とされるものがあるわけである。天寿を左右するものには遺伝的要因と環境要因があり、両者の関わり合いは各人各様である。最近、長寿遺伝子が発見され、活性化の方法や条件などが研究されているが、それは天寿を生きるための条件の1つであって全てではない。食生活、運動、休養、ストレス、リラクゼーションなど様々な環境条件についても、その人なりにバランスよく整えられていることが大切である。
 しかし、天寿を生きるうえでもう1つ考えておかなければならないのが、健康寿命をいかに延ばすかということである。
 高齢者の心身状況は個人差が著しく、いちがいに言えないが、全体として高齢化徴候がより目立ってくるのは75歳以降であろう。75歳を越えると各種身体機能低下のスピードが速く、程度もはっきりしてくる。85歳以上では、その傾向はよりいっそう顕著になり、わずかな外圧が加わると、急速に不可避的な変化が促進され、命を落とすことにもなりかねない。
 本書は天寿とは何かを考えながら、これまで取り上げられてきた天寿をまっとうするための手立てを見直すとともに、あまり気づかれない話題も取り上げ、天寿をまっとうするための心構えのようなものをエッセイ風にまとめられています。天寿への道は、自分が創るものである。長寿研究に長年携わった90歳の現役医学博士が教える長寿と健康の秘訣が公開されています。・・・
 ちなみに私が講演で使った天寿は16歳で亡くなった富満君のことで、天寿とはただ長寿を生きたというだけでなく、夭逝しても立派な天寿があるという意味で使ったのである。