Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

中村彰吾氏に聞く(3)(2015/04/30) 

★ 情報共有と意識改革(内部環境分析から)
(この中村さんが)赴任当時(2009年)、急性期医療をやっているといいながら、入院単価は35000円ほどだった。ところが現在は57000円ほどにアップしている。新病院への移転を契機に100床削減し、山積する課題を一つずつ解決した結果だという。また新病院建設後、差額ベッドを導入した。
① 経営基盤の安定化。
着任後幹部医師を集めて「民間の急性期病院は研修医、病理医、読影医をいれても年間一人で一億円は稼いでいます」と言った。「先生たちは病気を治します。私はこの組織を治します。だから協力してください」と。
② 赤字だった研究所の幹部に「それぞれ外部資金獲得額で研究員の評価をします。よい研究をしているのであれば、学会に発表し論文にまとめてください」。
今では年間7億円の研究費を外部から稼ぐようになった。
③ そして医療機器、設備、職場環境は経営側で最高のものを準備した。たとえば320列の最新型CTを導入したら、放射線科の技師長が近隣の医療機関に営業に回ってくれるようになった。その結果、受託する検査が大幅に増えた。また有効利用のために、放射線科から各科に「現在空いています、午後から空いています」というような一斎メールを取り始めたら、稼働率が大幅に向上した。職員のモチベーションも大きく上がった。
④ 医療人は給与だけでなく、自分の働きを評価してもらうことを求めている。今では放射線科は年10億円を稼ぐようになっている。
(私のコメント)
 ここの部分も参考になる。大学も研究機関も、いかにして競争的研究費を獲得するかにしのぎを削る時代である。
 また国立病院時代にも一人の医師を増員するための書類を提出すると「1億円増収が可能ですか」と尋ねられたものである。診療科の医師だけでなく、各部門の職員がいかにして増収を図るか、知恵を出し合うことも重要である。当院でも入院患者一人あたりの単価をいかにして上げられるか思慮しているが、結局は適切な効率的な医療で、平均在院日数の短縮を図っていくことが近道だろうか。
★ 財務諸表を読み込む能力は必須
 中村さんはこの病院の財務諸表を見た時に、人件費率が極めて高いことに気づく。それは医業収益が低いがためで、病院の収益を増やしたら人件費比率は平均的なものになった。そこで病院の業績を1.5倍にすることを考え、目標管理と原価計算を導入した。同時に業務統計分析を行い、見える化したデータをもちいて、他の同規模、同機能病院との比較や評価を行った。
そこで行ったことは
① ここの病院は高齢者が多く、診察後、患者に次にどこに行ったらいいか説明しても覚えてくれない。そこで、再診予約票を入れるケースに院内の地図を印刷した。
② また差額ベッドを140床設置したが、埋まるかどうか不安で、新病院がオープンするまで駐車場に行き、高級車が多いのか、大衆車が多いのか観察し、周辺の病院より3000円安く料金設定した。また開院前に近隣住民への内覧会を行った。
(私のコメント)
 この部分も当院と事情は同じである。でも細かいところから分析していく才能はすごいと思った。支出の抑制も大切だが、それ以上に分母の総収入を増やす努力をすることで、人件費率も低下できる。
 当院の場合、TQM室が随時素晴らしいデータを作成し「見える化」してくれている。要は、我々がいかに利用するかにかかっている。内覧会は東館が出来上がったときに、もしダ・ビンチが導入されていたら考慮してもいいかもしれない。