Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

投資は「きれいごと」で成功する(前)(2015/05/12) 

厚労省の18階で開催された疾病対策部会が予定よりやや早く終わったので、そのまま有楽町の輝咲に駆けつけた。昨日に始まった「しゃっくり」を心配していたが、昼過ぎには自然に消失し、会議の司会も問題なく終えることができた。今夜は昔懐かしい「福寿司ファミリー」のメンバーが、貴志さんのはからいで輝咲に集まることになっていた。
 メンバーは、福寿司の大澤さんご夫妻、大澤さんのお嫁さんで立命館大学教授の梨花さん、福地享子さん(築地「銀鱗文庫」の事務局長で、私の高校の同級生(と判明?!))、藤元拓志さん(都城出身の公認会計士)、山田義雄さん(福寿司ファミリーまとめ役、弁護士)、新井和宏さん(鎌倉投信株式会社取締役資産運用部長:5月11日のNHK「プロフェッショナル~仕事の流儀」に出演)、貴志夫妻(監査法人双研社 公認会計士)、そして私の10名である。
 私は今夜もお土産に「げたんは」や「南風病院60周年記念焼酎」などを用意した。焼酎の小瓶が重くて、飛行機の収納棚にあげるのには苦労した。
 宴会は時間通りに18時30分頃に始まった。私のテーブルには福地さん、大澤さん、新井さんが座った。さまざまな話題を楽しんだが、とりわけ鎌倉投信の新井さんの話が面白かった。
 医療の世界でも「そんなきれい事いっても、この世の中では通用しないよ」とよく言われる。そのようなきれいごとがもっとも通用しないと思われる金融の分野で、新井さんは見事に自らの理想を遂げつつある。
 その夜、新井さんは「投資は『きれいごと』で成功する」(ダイヤモンド社)という本を、サイン入りで出席者全員に配られた。帯には「数兆円を運用する外資系金融の職を辞し、社会性と経済性を両立する金融ベンチャー『鎌倉投信』を立ち上げた稀代のファンドマネージャー」と書かれている。
 ところで新井さんは、父親を畳職人の子どもとして横浜市で生まれた。教育熱心な両親のもとで慈しまれて育ったが、その父親が小学校5年生の時にトラックにひきこまれて重傷を負い仕事ができなくなった。中学校からバイトなどしながら勉強して、東京理科大学の夜間部に進学した。卒業後、1992年に住友信託に入行し、2000年に全世界で200兆円の資産を運用するBGIに転職した。
 この会社の哲学が「投資は科学」というもので、投資判断の全てをモデルで判断し、運用者はそのモデルを開発・改良する役割に徹することで、個人の能力に依存せず、組織で長期的な連続性を担保するために人間の精神的な弱さを排除しようとするものだった。当初新井さんはこの合理的な判断が多くの人を金融的束縛から解放し、「豊かさ」をもたらすと信じてがむしゃらに働いた。