Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

南大阪難病ケア・レジデントカンファレンス(中)(2015/06/30) 

しばらく窓の外を眺めていたら、ホテルの客室係の若い女性がコーヒーを持ってきてくれた。「ありがとう」と二言三言で「鹿児島ですか」と言われてしまった。「父の故郷が指宿で、母は鹿屋なんです。私は鹿児島に住んだことはなくて、冠婚葬祭の時に行くぐらいなのですが・・・」と言う。昔、友だちと有楽町の喫茶店に入り、「コーヒー」と注文しただけで、近くに座っていたおじさんから「かごっまですか」と話しかけられたことがあった。その時は、「余計なお世話だが!」と思ったのだが、全く同じシツエーションである。でも今回は若い女性だったということもあり、「かごしまの話題」でしばし盛り上がった。
 講演は一般講演のあと、19時45分から21時まで予定されていた。当初は難病全般についての今までの経験をお座なりに話そうと思っていたが、出席者が神経内科を目指している若い先生方(後期研修医)が主体だということを聞いて、「何か元気の出そうな話を」と少し内容を変更することにした。大上段からの偉そうな話は柄に合わないとも思ったが、せっかくの機会でもあり自戒の念も含めて「医師としてこうありたかった」というような位置づけで考えることにした。
 そのように思っていた頃、たまたま「ほんまもん(健康ジャーナル社)」(福島県立大学臨床教授 岸本和裕著)という本が送られてきた。副題は「未来を変えるために私がしていること、きみたちにできること」である。そして同封の手紙には次のように書かれている。
 始めまして、私は福島県会津若松市にあります竹田総合病院の勤務医岸本和裕と申します。医療崩壊、東日本大震災を経験し、医療を通じてさまざまな施策を巡らせて参りました。 「一人でも多くの質の高い社会人(医療人)を育成したい」「学生および若い社会人が自分を見失うことなく社会に貢献できる人材に育ってほしい」「早い段階で大切なことを学生および若い社会人に伝えてあげたい」という思いを込めて書籍を執筆いたしました。
 まずは日本を代表する指導的・教育的立場にあられます福永秀敏先生にお読みいただきたいと思い、書籍を送らせて頂いた次第です。是非ともご批評を承り、福島県民のため、日本の医療のために後学に活かして行きたい所存であります・・・
 ちょっと「指導的・教育的立場とは」面映ゆい部分もあるが、「ほんまもん」をあらためて読み返してみると、まだ45歳だという岸本先生の気持ちと苛立ちがよく伝わってくる。帯には「医療界ではマイナーといわれる皮膚科の医師が声を挙げた。崩壊した地域医療と格闘してきた医師だけが知っている『本物(ほんまもん)』の医療を実現するための確かな『道』がここにある。若き医療人たちへ伝えたい。『きみこそが希望だ!』と書かれている。未来を変えるためにこの岸本先生が日々真摯に取り組んでいることを、率直に具体的に書いている。