鹿児島セイフティマネジメント研究会(後)(2015/07/08)
肝腎の講演内容であるが、まず病院で事故(死亡事例などの大きな事故)が発生した場合の、対当事者、対内部、対外部への対応から始まった。
まず対当事者としては患者と医療スタッフが対象になるが、被害の拡大防止が先決である。何をさておいて患者の救命と、その後の関係した医師や看護師への心のケアが必要となる。
次は対内部であるが、重要なことは証拠の確保(現場の保全と事実確認)である。よく言われるように、事故が発生してもし裁判等になったときに医療者を守ってくれるのは記録(カルテ)であるといわれる。記録は迅速に正しく書いておかなければならない。ただ当事者は事故当時は冷静でもないし、継時的に事実を客観的に書くのは難しい場合が多く、後で見直して訂正なり追記したいと思うことはよくあることである。ところが見方によっては、「改ざん」ととらえかねないジレンマがある。
記録の見直しの内容としては、一つは形式的要件(日時、氏名、訂正内容)であり、もう一つが実質的要件である。最も重要な部分は後者であるが、その場合に配慮しなければならないのは、裁判官が吟味して訂正するに足る合理的理由があるかどうかと、他の記録との整合性が保たれているかどうかである。裁判所の判断は総合的に行われるので、提出された各種記録(証拠物件)と照らし合わせて整合性がつくかどうかは重要なポイントである。そのため場合によってはカルテへの追記ではなくて、別途報告書なりあるいは個人的メモ書きとして裁判所に提出してもよい場合もある。
次に対外部への情報提供であるが、事務的な届出と当事者(家族など)への説明がある。届出としては医師法21条に係る警察への届出、自賠責保険会社、そして今年10月からは事故調査委員会への届出が増えることになる。
ここで最も重要で誤ると大きな紛争や裁判になる当事者への説明の時、紛争を回避するための法的留意点について述べることにする。法的な説明には時系列的には、例えば手術や検査の提供前(インフォームドコンセント『IC』など)、提供時(医療の内容としての説明)、提供後(結果説明と顛末報告)の3つがある。まずICであるが、基本は手術する根拠、リスク、そして他に方法があるのかの三点は欠かすことのできない要素である。そして根底にあるのは患者との共同決定だという認識であり、患者に応じた個別的な説明が要求される。よく医療側が一方的に説明した後は、患者側の自己決定に委ねたのだからそれで済んだというのは間違いである。医療側がよしと判断しても、不測の事態になったときには患者側がよく納得されていたかが重要なポイントとなる。納得されたICがされていないと、人格侵害ととられ医療過誤になる。
最後の顛末報告であるが、法的に契約上の義務であり、事故が起きたら医療側は過失に関係なく説明する義務を負っている。それは当事者の医師ではなく病院の責任としてなされることになる。きちんとした説明がなされないと、紛争を激化することになる。悪い説明とは、その説明に一貫性がなく二転三転することで、患者側の不信を招きやすい。病院側はきちんと整理して、病院としての統一的な見解をまとめることが重要である。
よく「患者側への謝罪の是非」が議論される。基本は事態を鎮静化する方向での謝罪が行われたかどうかである。気を付けなければならないことは、原因についての説明は避けなければならない。例えば、あの時にちゃんと見ておけばよかったとか、もっとしっかりしておけばよかったなど、レトロスペクティブ(回顧的)な発言は慎むべきである。むしろプロスペクティブな再発防止策などに言及した方がいい。
最後に10月から始まる医療事故調査制度の内容にも触れられた。
報告対象は医療に起因し管理者が予期しなかったもので、いわゆる院内での自殺などの管理に起因するものは含まれないという。逆に除外できるものは管理者が医療の提供前に死亡も予期されることを説明していたと認めたもの、診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの、医療安全管理委員会等の意見の聴取で予期されていると認めたものなどである。
また委員会では調査結果を報告するときに再発防止策を書き込むかどうかも議論の対象になったが、これは報告書とは分けて別な形でまとめるという方向もあるように思うと語った。
17時30分からは隣の部屋で、簡単な懇親会を開いたが、50人近くが集まった。
まず対当事者としては患者と医療スタッフが対象になるが、被害の拡大防止が先決である。何をさておいて患者の救命と、その後の関係した医師や看護師への心のケアが必要となる。
次は対内部であるが、重要なことは証拠の確保(現場の保全と事実確認)である。よく言われるように、事故が発生してもし裁判等になったときに医療者を守ってくれるのは記録(カルテ)であるといわれる。記録は迅速に正しく書いておかなければならない。ただ当事者は事故当時は冷静でもないし、継時的に事実を客観的に書くのは難しい場合が多く、後で見直して訂正なり追記したいと思うことはよくあることである。ところが見方によっては、「改ざん」ととらえかねないジレンマがある。
記録の見直しの内容としては、一つは形式的要件(日時、氏名、訂正内容)であり、もう一つが実質的要件である。最も重要な部分は後者であるが、その場合に配慮しなければならないのは、裁判官が吟味して訂正するに足る合理的理由があるかどうかと、他の記録との整合性が保たれているかどうかである。裁判所の判断は総合的に行われるので、提出された各種記録(証拠物件)と照らし合わせて整合性がつくかどうかは重要なポイントである。そのため場合によってはカルテへの追記ではなくて、別途報告書なりあるいは個人的メモ書きとして裁判所に提出してもよい場合もある。
次に対外部への情報提供であるが、事務的な届出と当事者(家族など)への説明がある。届出としては医師法21条に係る警察への届出、自賠責保険会社、そして今年10月からは事故調査委員会への届出が増えることになる。
ここで最も重要で誤ると大きな紛争や裁判になる当事者への説明の時、紛争を回避するための法的留意点について述べることにする。法的な説明には時系列的には、例えば手術や検査の提供前(インフォームドコンセント『IC』など)、提供時(医療の内容としての説明)、提供後(結果説明と顛末報告)の3つがある。まずICであるが、基本は手術する根拠、リスク、そして他に方法があるのかの三点は欠かすことのできない要素である。そして根底にあるのは患者との共同決定だという認識であり、患者に応じた個別的な説明が要求される。よく医療側が一方的に説明した後は、患者側の自己決定に委ねたのだからそれで済んだというのは間違いである。医療側がよしと判断しても、不測の事態になったときには患者側がよく納得されていたかが重要なポイントとなる。納得されたICがされていないと、人格侵害ととられ医療過誤になる。
最後の顛末報告であるが、法的に契約上の義務であり、事故が起きたら医療側は過失に関係なく説明する義務を負っている。それは当事者の医師ではなく病院の責任としてなされることになる。きちんとした説明がなされないと、紛争を激化することになる。悪い説明とは、その説明に一貫性がなく二転三転することで、患者側の不信を招きやすい。病院側はきちんと整理して、病院としての統一的な見解をまとめることが重要である。
よく「患者側への謝罪の是非」が議論される。基本は事態を鎮静化する方向での謝罪が行われたかどうかである。気を付けなければならないことは、原因についての説明は避けなければならない。例えば、あの時にちゃんと見ておけばよかったとか、もっとしっかりしておけばよかったなど、レトロスペクティブ(回顧的)な発言は慎むべきである。むしろプロスペクティブな再発防止策などに言及した方がいい。
最後に10月から始まる医療事故調査制度の内容にも触れられた。
報告対象は医療に起因し管理者が予期しなかったもので、いわゆる院内での自殺などの管理に起因するものは含まれないという。逆に除外できるものは管理者が医療の提供前に死亡も予期されることを説明していたと認めたもの、診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの、医療安全管理委員会等の意見の聴取で予期されていると認めたものなどである。
また委員会では調査結果を報告するときに再発防止策を書き込むかどうかも議論の対象になったが、これは報告書とは分けて別な形でまとめるという方向もあるように思うと語った。
17時30分からは隣の部屋で、簡単な懇親会を開いたが、50人近くが集まった。
