平均寿命の延長は喜ばしいことだが・・・(前)(2015/08/20)
7月31日の日経の社説は「社会保障の維持へ能力に応じた負担を」というものだったが、そのすぐ横の記事は「日本人の昨年平均寿命が最高を更新」となっていた。両方の記事はたまたま相並んだということだろうが、この二つは微妙な相関関係にありそうである。寿命の延長は喜ばしいことだが、一方では社会保障費もうなぎ上りに増えていくという現実に直面している。
まずその寿命であるが、女性は86.83歳(74,21歳)で、男性は80.50歳(71.19歳)(カッコ内は健康寿命)で、国別に比較すると女性は世界一位で、男性は4位から3位へと一ランクあげている。寿命が延長した要因として厚労省は「がんや心臓病、肺炎、脳卒中などによる死亡率が改善したことと分析している。ただ健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されない期間)との乖離は10歳前後もあり、「今後は健康寿命を延ばすことを考えるべきだ」との辻一郎氏(公衆衛生学)の発言には共感できる。
先日の鹿児島県公的病院院長協議会の懇親会の時に、「C型肝炎の治療薬」のことが話題になった。特に「服用時にはある程度の年齢制限が必要になるのでは」ということである。まずインターネットに掲載された記事の要約は次のようなものである。
治癒率の高い薬が手に入るようになるのはC型肝炎患者にとって朗報だ。だがその反面で別の悩みが頭をもたげ始めている。医療財政への負担だ。「ソバルディ」は高額な薬で、1錠の薬価は6万1,799円。12週間服用すれば、治癒までに要する薬剤費は併用薬を含めて約546万円である。インターフェロンを使った治療の薬剤費は約223万円なので、倍以上に相当する。このままでは利用できる人が限られるため、厚生労働省の肝炎治療戦略会議は、「ソバルディ」と「リバビリン」を公的医療保険制度の適用対象とし、さらにこれらの薬の併用療法を医療費助成の対象とすることも決めた。これにより患者の負担は月1万~2万円となる。もちろん医療費助成の大部分は、国民の負担する税金や健康保険料で賄われる。
C型肝炎を治療できれば、中長期的には肝臓がんなどにかかる医療費を節減できる可能性がある。一方で、高額な薬をすべて公的保険や助成の対象にすると、国民負担が過重になり、仮に50万人の患者が利用したとすると薬剤費だけで2兆円を超えてしまう。
英国やドイツ、フランス、カナダ、オーストラリアなどではすでに費用対効果の考えが導入されている。厚生労働省では費用対効果の検討が始められており、今後は議論が活発になりそうだ。例えば80歳以上C型肝炎の人が将来的に肝臓がんにならないという保証はないが、500万円以上の薬剤費を払うというコストベネフィットをどのように考えていけばいいのだろうか。服用可能年齢の議論は、今後ともあってしかるべきことだと思う。
まずその寿命であるが、女性は86.83歳(74,21歳)で、男性は80.50歳(71.19歳)(カッコ内は健康寿命)で、国別に比較すると女性は世界一位で、男性は4位から3位へと一ランクあげている。寿命が延長した要因として厚労省は「がんや心臓病、肺炎、脳卒中などによる死亡率が改善したことと分析している。ただ健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されない期間)との乖離は10歳前後もあり、「今後は健康寿命を延ばすことを考えるべきだ」との辻一郎氏(公衆衛生学)の発言には共感できる。
先日の鹿児島県公的病院院長協議会の懇親会の時に、「C型肝炎の治療薬」のことが話題になった。特に「服用時にはある程度の年齢制限が必要になるのでは」ということである。まずインターネットに掲載された記事の要約は次のようなものである。
治癒率の高い薬が手に入るようになるのはC型肝炎患者にとって朗報だ。だがその反面で別の悩みが頭をもたげ始めている。医療財政への負担だ。「ソバルディ」は高額な薬で、1錠の薬価は6万1,799円。12週間服用すれば、治癒までに要する薬剤費は併用薬を含めて約546万円である。インターフェロンを使った治療の薬剤費は約223万円なので、倍以上に相当する。このままでは利用できる人が限られるため、厚生労働省の肝炎治療戦略会議は、「ソバルディ」と「リバビリン」を公的医療保険制度の適用対象とし、さらにこれらの薬の併用療法を医療費助成の対象とすることも決めた。これにより患者の負担は月1万~2万円となる。もちろん医療費助成の大部分は、国民の負担する税金や健康保険料で賄われる。
C型肝炎を治療できれば、中長期的には肝臓がんなどにかかる医療費を節減できる可能性がある。一方で、高額な薬をすべて公的保険や助成の対象にすると、国民負担が過重になり、仮に50万人の患者が利用したとすると薬剤費だけで2兆円を超えてしまう。
英国やドイツ、フランス、カナダ、オーストラリアなどではすでに費用対効果の考えが導入されている。厚生労働省では費用対効果の検討が始められており、今後は議論が活発になりそうだ。例えば80歳以上C型肝炎の人が将来的に肝臓がんにならないという保証はないが、500万円以上の薬剤費を払うというコストベネフィットをどのように考えていけばいいのだろうか。服用可能年齢の議論は、今後ともあってしかるべきことだと思う。
