Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

パーキンソン症候群(2015/08/12) 

一月ほど前に銀座のシーフードレストランで、厚労省の疾病対策課のスタッフに私の誕生日を祝ってもらったときのこと、課長補佐が「8月の委員会は『ドリフの舞台崩し』になるかなあ」と言ったときのことである。そのいきさつをちょっと説明すると、難病対策委員会と疾病対策部会のメンバーは重複している人が多いので、8月の難病対策委員会の後に会場の模様替えを行い、引き続いて疾病対策部会を開催したらどうだろうかということである。
 私の隣の女性は24歳ということだったが、この「ドリフの舞台崩し」という言葉を「聞いたこともない」と言われ、そもそもドリフターズを知らないという。いかりや長介も加藤茶も知らない世代である。
 昨年6月、NHKテレビ「鶴瓶の家族に乾杯」が、私の故郷である頴娃町の石垣部落が舞台になった。その時、加藤茶(72歳)の様子がおかしく、足元がふらついたり呂律がうまく回らないなどの様子が見られ、一部週刊誌やネット上などでも重病説が囁かれた。私もブラウン管を所狭しと動き回る元気な頃の加藤の姿を知っているだけに、痛々しく感じたものである。
 後日談になるが従兄の葬儀に参加した時に、この時に加藤の相手をしていた90歳のおばあさんが私の両親のことをよく知っていてびっくりしたものである。
 ところが最近、加藤が「あの時が調子が一番悪かった」と振り返り、奥さんの綾菜さん(27歳)も「ロケの前の日に手足が震えていた」と明かした。実際にロケを終えて帰宅した際、手足の震えが止まらない状態だったため、車で病院に向かい、即入院となったという。
 最近その原因について加藤は、2006年に大動脈解離で緊急手術を受けて以降、たくさんの薬を服用しているといい、「その一つが合わなかった」と説明し、体が痙攣(けいれん)して日常生活に支障をきたす「パーキンソン病」と同じような症状を引き起こす「パーキンソン症候群だった」とテレビで初めて告白したという。
 どの薬を飲んでいたかは定かでないが、どうもドグマチール(薬剤名スルピリド)」を飲んでいたのではないかと思われる。ドグマチールはドーパミンをブロックするため、パーキンソン病と似た様な症状はあらわすことがある。あるいは、吐き気止めのプリンペランやナウゼリンを服用していた可能性もある。
 このように薬剤の副作用でパーキンソン病に似た症状を呈するとき、薬剤性パーキンソニズムと診断する。お年寄りは沢山の薬を服用していることが多く、パーキンソン病様の賞状のある時にはまず「症候群」を除外することが重要である。