患者さんの気持ちになって(後)(2015/09/07)
二人目は70歳代前半の農業に従事されている男性である。本人と奥さんの二人で相談に来られたが、相談内容は服薬のことと、今後主治医との関係をどうすればいいかというものだった。
患者さんは一昨年ごろから体の動きが悪くなり、パーキンソン病の治療では高名な専門医を今年の2月に受診した。昨年、たまたまパーキンソン病の講演会があり、この時にこの先生の講演を聞いていたからである(実は、この講演会で、私もトップバッターで登壇していたことがわかって、お互いにびっくりした)。
相談室で簡単な診察をしたが、典型的なパーキンソン病ではあるが症状は現在では軽い。この日も自分で車を運転して受診している(危ないから止めるように指示したが)。ところが主治医はどのような判断されたのか、当初からかなりの量の抗パーキンソン病薬を処方されたために、飲んだら胃腸症状が強く頭もぼっとするということで勝手に服用をやめたという。そこでかねて腰痛のために通っている近くの病院の紹介で、別の若い神経内科医を受診した。そこで処方された薬はパーキンソン病の薬としては、アーテン1錠のみで調子はまあまあのようだ。
ここからが問題で、もし今後病状が進行したらやはり専門の先生に診てもらいたいので、2週間に一回は専門医も受診して、おまけに飲まない薬をもらい続けているという。「薬屋さんを開けるぐらい薬が溜まったでしょう」と冗談を言うと、頷きながら笑っている。
いつも相談を受けながら思うことだが、通常の日本の外来診療では医師は多忙を極めるため、一人の患者に十分な時間を確保できない。そのために患者への説明はおろそかになり、患者家族は不満を抱えたまま病院から帰ることになる(なおセンターでの医療相談では、患者本人や家族の話だけを聞くことになるので、真実のほどは分からない。誤解して解釈したり、独りよがりに思いこんでいる場合もある)。
ドクターズマガジンのオピニオンという欄で、河野道宏氏(東京医科大学脳外科教授)が「患者とのコミュニケーション」について触れているので、その一部を抜粋した。外科系のドクターなので、手術に関係したことが多い。
特に資金を必要とせずに、患者の満足度を上げる方法はいくらでもある。「患者の立場になってみて、受けたい医療を提供する」ために、自分が患者であったらどのようなことを考えるだろうか。
① 情報が十分に公開されていること
② 初診のアクセスがしやすいこと
③ 外科系であれば、手術前の説明は執刀医から受けたい
④ 手術直後は執刀医も何度も様子を見に来てもらいたい
⑤ 術後管理にも執刀医が責任を持ってもらいたい
⑥ 退院後の外来通院も、可能な限り執刀医にお願いしたい
⑦ 何か異変を感じた時に執刀医チームに連絡を取って相談できるシステムが欲しい。
医師自身の時間的な制約や病院のおかれた状況で、思ってもできないこともあろうが、①から⑦は特に外科系では必要な事柄かと思う。
患者さんは一昨年ごろから体の動きが悪くなり、パーキンソン病の治療では高名な専門医を今年の2月に受診した。昨年、たまたまパーキンソン病の講演会があり、この時にこの先生の講演を聞いていたからである(実は、この講演会で、私もトップバッターで登壇していたことがわかって、お互いにびっくりした)。
相談室で簡単な診察をしたが、典型的なパーキンソン病ではあるが症状は現在では軽い。この日も自分で車を運転して受診している(危ないから止めるように指示したが)。ところが主治医はどのような判断されたのか、当初からかなりの量の抗パーキンソン病薬を処方されたために、飲んだら胃腸症状が強く頭もぼっとするということで勝手に服用をやめたという。そこでかねて腰痛のために通っている近くの病院の紹介で、別の若い神経内科医を受診した。そこで処方された薬はパーキンソン病の薬としては、アーテン1錠のみで調子はまあまあのようだ。
ここからが問題で、もし今後病状が進行したらやはり専門の先生に診てもらいたいので、2週間に一回は専門医も受診して、おまけに飲まない薬をもらい続けているという。「薬屋さんを開けるぐらい薬が溜まったでしょう」と冗談を言うと、頷きながら笑っている。
いつも相談を受けながら思うことだが、通常の日本の外来診療では医師は多忙を極めるため、一人の患者に十分な時間を確保できない。そのために患者への説明はおろそかになり、患者家族は不満を抱えたまま病院から帰ることになる(なおセンターでの医療相談では、患者本人や家族の話だけを聞くことになるので、真実のほどは分からない。誤解して解釈したり、独りよがりに思いこんでいる場合もある)。
ドクターズマガジンのオピニオンという欄で、河野道宏氏(東京医科大学脳外科教授)が「患者とのコミュニケーション」について触れているので、その一部を抜粋した。外科系のドクターなので、手術に関係したことが多い。
特に資金を必要とせずに、患者の満足度を上げる方法はいくらでもある。「患者の立場になってみて、受けたい医療を提供する」ために、自分が患者であったらどのようなことを考えるだろうか。
① 情報が十分に公開されていること
② 初診のアクセスがしやすいこと
③ 外科系であれば、手術前の説明は執刀医から受けたい
④ 手術直後は執刀医も何度も様子を見に来てもらいたい
⑤ 術後管理にも執刀医が責任を持ってもらいたい
⑥ 退院後の外来通院も、可能な限り執刀医にお願いしたい
⑦ 何か異変を感じた時に執刀医チームに連絡を取って相談できるシステムが欲しい。
医師自身の時間的な制約や病院のおかれた状況で、思ってもできないこともあろうが、①から⑦は特に外科系では必要な事柄かと思う。
