Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

コラージュ療法(6)(2015/11/17) 

またかねて懇意にしていた友人から相談を受けたことがある。「高校一年の息子が、二学期から学校に行かなくなった」と言う。当時から大きな社会問題になっていた不登校である。
この時も彼女にお願いした。子どもとの数度にわたる面談でも登校する兆しはなく、とりあえず休校扱いで様子を見ることになった。彼女は、「高校生は素直で心やさしい普通の高校生であるが、ただ父親との葛藤が不登校の最も大きな要因になっている」と分析した。「親が変わらなければ子どもは変わらない」と。私は父親と同じ団塊の世代としてこの友人の気持ちがよく理解できたし、息子に対する「学校に行きたくないというのは甘えである」とする発言にも共感できると反論した。
友人と私も加わって3人でこの問題について話し合った。このとき、彼女の心理学に基づいた理論と豊富な経験から、「親の価値観を押し付けてはいけない、じっと我慢して静かに見守る時も必要だ」と教えられた。その後しばらくして高校を退学したが、検定から大学に通学している所を見ると、「餅はやはり餅屋だ」だと思うことだった。
ある会合で、一緒に福岡に出張したことがあった。帰りの飛行機の時間に遅れそうな時刻に駆け込んできたので事情を聞いてみると、少年鑑別所にある少女に会いに行っていたという。彼女が県内の中学からカウンセリングを頼まれていた少女で、非行により福岡に送致になったので面会に行っていたのだという。いつも当事者と同じ目線で真っ向勝負で問題の核心に迫り、そしていつも変わらぬ面倒見のよさが少年や少女の信頼を得ていたものと推察できる。
いつも思うことだが、私が30年間もの長い間南九州病院で楽しく仕事をすることができたのは、西村君や今村さんなど、多くのよき友だちに恵まれたからともいえる。当時、20歳が平均寿命とされていた筋ジストロフィーの子どもたちが、明るく元気に生活できたのも、彼らのお蔭だと思っている。