Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

病院の生き残りをかけて(前)(2016/01/18) 

安倍内閣に課せられた規制改革の本丸は、医療と農協だと言われていた。
2016年1月10日の日経一面のトップは「農協、再編で4割減計画」という大見出しに続いて、「23道府県、県に一つが12県に」と続いている。すなわち現在全国には674の農協があったが、再編により4割少ない420程度に削減されるのだという。
振り返ってみると、2015年9月 、安倍内閣が岩盤規制に穴を開けるとしてその象徴に挙げられていた農協改革をめぐり、 農協法等の一部改正案が28日国会で可決された。その一月ほど前に、JA全中は、前会長の萬歳章氏が農協改革を巡って政府と対立し、任期を2年残して辞任して新会長に奥野長衛氏が就任したばかりだった。TPP交渉の大筋合意を背景に、農産物の競争力強化のためにという理由からである。
さて安倍内閣の岩盤規制のもう一つの標的である医療制度改革も、着々とその布石が敷かれつつあるようである。厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会では2016年度の診療報酬改定、医療費適正化計画、後期高齢者支援金の加算・減算措置、国保改革等の改正法などが挙げられている。近い将来、「病院4割削減」というような記事が日経の一面を飾る日も、そう遠くない日に見られるのかもしれない。
年が明けて1月7日の午後、「西俣先生が私と理事長に話がしたい」ということを江藤事務長から告げられた時、「何のことだろうか」と想像できなかった。結論からいえば、もちろん病院の今後の方向に関することで、一つは平均在院日数をより短縮するにはどうすればいいか、そして健診により力を注ぎたいという二点だった。この二つに関してはかねてから西俣先生がよく言われてきたことだったが、今回は切迫感を伴った話になった。
西俣先生には「先を読むのが実に鋭い」と、かねがね舌を巻いている。さまざまな外部からの情報と複眼的な思考に基づく独特の勘で、時には時代より少し早すぎると思うこともあるが、確実に時代の方が追いかけているから説得力がある。
今回、西俣先生の提示された資料の一つに、「医療改革の工程表」がある。
この4月に予定されている診療報酬改定で7:1入院基本料取得の条件の一つである医療・看護必要度が現行の15%から25%以上になると、多くの病院が10:1に落とさざるを得なくなりそうである。その結果、当院の場合には約2億5千万もの減収になる。是が非でも必要度を25%以上に上げるとなると、平均在院日数の短縮しかない。ただ都市部の急性期を担う大病院では、8日が一般的になってきており、当院も現在の12日から10日、そして目標は8日と位置づけなければならないだろう。私は先のランで、平均在院日数の短縮と稼働率の維持という二兎を追いたいと書いた。稼働率も考えなければ、収益が極端に減ってしまう。難しい課題であるが、この課題をクリアできなければ南風病院の将来はないと言わざるを得ない。750人の命運がかかっているというのも、あながち誇張した表現でもない。一方では我々には、鹿児島県からの県外への患者流出を食い止めなければならないという使命もある。
そして「2018年を乗り切れば医療状況は変わってきて、病院経営も軌道に乗ってくる」というのが西俣先生の「お見立て」である。