アリの観察から(2016/02/24)
社会生物学あるいは行動生物学という学問がある。現代生物学の成果をもとに動物の「社会的行動」の進化を研究する分野である。というより、動物の生態観察から人間社会の「機微」をうかがい知ることに興味がある。今回は「一見、働いていないようでも、本当は大切な役割を担っていたんだ!」というものである。
2月17日の各紙朝刊を飾った「面白い」記事を読まれただろうか。
コロニー(集団)の中に必ず2〜3割いる働かない働きアリは、他のアリが疲れて動けなくなったときに代わりに仕事をし、集団の長期存続に不可欠だ。
これまでの研究で、働くアリだけのグループを作っても、必ず働かないアリが一定割合現れることが確認されている。非効率な存在で、働かないアリがいることが謎だった。自然界では、働きアリが全て同時に働かなくなると、必要な卵の世話が滞ってそのコロニーが滅びてしまう。チームは日本全国に生息するシワクシケアリを飼育し、1匹ずつ異なる色を付けて個体識別した上で1カ月以上にわたって8コロニーの行動を観察。最初よく働いていたアリが休むようになると、働かなかったアリが動き始めることを確認した。さらに、コンピューターシミュレーションで、1コロニー75匹の働きアリが全て同じようによく働き、疲れがたまるペースも一緒のケースと、働き度合いがばらばらのケースを比較。勤勉なアリだけのケースでは一斉に疲労で動けなくなってコロニーが滅びてしまうのが早く、働かないアリがいる方が長続きする傾向があった。
チームの長谷川英祐・北海道大准教授(進化生物学)は「働かないアリを常駐させる非効率的なシステムがコロニーの存続に欠かせない。人間の組織でも短期的な効率や成果を求めると悪影響が出ることがあり、組織を長期的な視点で運営することの重要性を示唆する結果ではないか」と話す。(毎日新聞の記事を一部改変)
この研究の前提となる有名な研究は、よく引き合いに出される「働きアリの2:6:2の法則」である。
働きアリをよく観察する(100匹のアリ)と、20匹(20%)が良く働き、60匹(60%)が普通に働き、そして残りの20匹(20%)が全く働かない状態だという。働かないアリは、どうしても生まれてしまう。仮に、働かないアリ20匹をそこから取り除くと、残った80匹のうち、16匹(20%)が良く働き、48匹(60%)が普通に働き、16匹(20%)が全く働かない状態へ再編成され、常に「2:6:2」の比率になるそうである。逆に、良く働くアリばかりを集めても、まもなく数%のアリは遊び出すと言われている。
この研究から、人間社会の行動様式も同じことが言えるのだという。例えば、会議で発言しない人がいたとする。その人に発言させるには、発言しない人ばかり集めて会議をすれば良い。無口な人ばかり集めて会議をさせると、ちゃんと口を開き始める人が生まれる。そして、その中から、リーダーシップを発揮する人も出てくる。人は、不思議と「自分がいる集団」によって、様々な役割を自然に演じる。だから、会社内に色々なプロジェクトチームを編成し、各プロジェクトを任せきることも方法である。面白いもので、社内清掃や引越のような時にもはっきりと2;6;2に分かれる。しかし、そのような時こそ、経営者はリーダーシップを発揮せずに、任せるきることが重要なのではないか。むしろ、逆に出来ない2割に徹する(役割を演じる)ことも意図的な戦略ではないか。人は、働かない人ばかりの集団だと逆にリーダーシップを発揮して働く気になる人もいるし、働く人ばかりの組織に入るとむしろ控え目になり働かなくなることもある。強い組織、弱い組織に関わらずこの法則は存在する、という。
2月17日の各紙朝刊を飾った「面白い」記事を読まれただろうか。
コロニー(集団)の中に必ず2〜3割いる働かない働きアリは、他のアリが疲れて動けなくなったときに代わりに仕事をし、集団の長期存続に不可欠だ。
これまでの研究で、働くアリだけのグループを作っても、必ず働かないアリが一定割合現れることが確認されている。非効率な存在で、働かないアリがいることが謎だった。自然界では、働きアリが全て同時に働かなくなると、必要な卵の世話が滞ってそのコロニーが滅びてしまう。チームは日本全国に生息するシワクシケアリを飼育し、1匹ずつ異なる色を付けて個体識別した上で1カ月以上にわたって8コロニーの行動を観察。最初よく働いていたアリが休むようになると、働かなかったアリが動き始めることを確認した。さらに、コンピューターシミュレーションで、1コロニー75匹の働きアリが全て同じようによく働き、疲れがたまるペースも一緒のケースと、働き度合いがばらばらのケースを比較。勤勉なアリだけのケースでは一斉に疲労で動けなくなってコロニーが滅びてしまうのが早く、働かないアリがいる方が長続きする傾向があった。
チームの長谷川英祐・北海道大准教授(進化生物学)は「働かないアリを常駐させる非効率的なシステムがコロニーの存続に欠かせない。人間の組織でも短期的な効率や成果を求めると悪影響が出ることがあり、組織を長期的な視点で運営することの重要性を示唆する結果ではないか」と話す。(毎日新聞の記事を一部改変)
この研究の前提となる有名な研究は、よく引き合いに出される「働きアリの2:6:2の法則」である。
働きアリをよく観察する(100匹のアリ)と、20匹(20%)が良く働き、60匹(60%)が普通に働き、そして残りの20匹(20%)が全く働かない状態だという。働かないアリは、どうしても生まれてしまう。仮に、働かないアリ20匹をそこから取り除くと、残った80匹のうち、16匹(20%)が良く働き、48匹(60%)が普通に働き、16匹(20%)が全く働かない状態へ再編成され、常に「2:6:2」の比率になるそうである。逆に、良く働くアリばかりを集めても、まもなく数%のアリは遊び出すと言われている。
この研究から、人間社会の行動様式も同じことが言えるのだという。例えば、会議で発言しない人がいたとする。その人に発言させるには、発言しない人ばかり集めて会議をすれば良い。無口な人ばかり集めて会議をさせると、ちゃんと口を開き始める人が生まれる。そして、その中から、リーダーシップを発揮する人も出てくる。人は、不思議と「自分がいる集団」によって、様々な役割を自然に演じる。だから、会社内に色々なプロジェクトチームを編成し、各プロジェクトを任せきることも方法である。面白いもので、社内清掃や引越のような時にもはっきりと2;6;2に分かれる。しかし、そのような時こそ、経営者はリーダーシップを発揮せずに、任せるきることが重要なのではないか。むしろ、逆に出来ない2割に徹する(役割を演じる)ことも意図的な戦略ではないか。人は、働かない人ばかりの集団だと逆にリーダーシップを発揮して働く気になる人もいるし、働く人ばかりの組織に入るとむしろ控え目になり働かなくなることもある。強い組織、弱い組織に関わらずこの法則は存在する、という。
