Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

歩き過ぎると・・・(前)(2016/03/15) 

アンテナを高くしておくと、気になる情報がいいことか悪いことかに拘わらず向こうから目に飛び込んでくるものである。
その新聞記事の見出しを見た瞬間、冷や水をぶっかけられたような「小さな衝撃」を受けた。2月25日の日経新聞「くらし」欄の見出しは、「歩いて病気予防 目安は?」と「やりすぎると免疫力低下」というものだった。
本文では「運動不足が健康によくないのは当たり前。でも医師から、適度に運動しましょうと言われ、ふと考え込んでしまうことはないだろうか。・・・」。そして「感染症などから身を守る免疫の働きを高めるためにも、適度な運動は重要だ。運動不足の解消は免疫力を向上させる一方、過度になると逆に低下する。運動量が非常に多いアスリートが風邪をひきやすいとされるのはこのためだ・・・」と続いている。本当にエビデンスがあるのだろうかと調べてみると、順天堂大学医学部免疫学講座の竹田和由さんという人の実験結果が示されている。だいぶ古いデータだけど(1995年)。
22人のマラソンランナーに2時間半ランニングをしてもらい、その前後のNK細胞活性を調べてみた。するとランニングの直前と直後ではあまり変化はみられなかったが、ランニング後一時間半経った頃にはNK活性が走る前の61%もダウン、6時間後でも半分にしか回復していなかった。この結果から、激しい運動や2時間以上の運動の後には、NK細胞の活性は著しく低下するので、免疫力も非常に低下しておりウイルスや細菌に感染しやすくなるというのである。
ちなみにこの記事には高齢の男性が歩いているグラフィックの絵が描かれており、うつ病4000歩、脳卒中、認知症、心疾患5000歩、骨粗鬆症、肺、大腸などのがん7000歩、糖尿病と脂質異常症8000歩となっている。ただ厚労省が平成24年度に発表した基本方針では、生活習慣病予防のための一日の歩数は、男性9000歩、女性8500歩となっている。
さてこのランで私が重症の「万歩計依存症」になってしまったことは何度も書いてきたし、院内の女性陣の中には「しょっちゅう万歩計を見せられてもうウンザリ」と眉をひそめる方もおられるかもしれない。振り返ってみれば一昨年の5月8日から「歩く」ことを始め、約2年になろうとしている。当初は「どうせ三日坊主で終わるだろう」と自ら疑わなかった。ちょうどそのころ、年金協会の鶴丸さんから6月に「健康に関する講話」を頼まれた。そこで、「その講話までは続けておかないと話にならない」と新たな目標ができてしまった。おまけにテルモの万歩計も手に入り、この万歩計だと一週間の平均も示されるし、毎月の歩く歩数が棒グラフで示されるという優れものである。もし万歩計がなかったらこれほどまでに続かなかっただろうし、歩数も伸びていないことだけは確実である。
歩くうちに体重も少し減ったようだし、体調もいい。年中行事化していたぎっくり腰もなくなった。歩くことが次第に習慣化したのである。万歩計に示される数字も最初の頃は8000歩ぐらいがやっとだったが、10000歩を超して、最近では15000歩を超えることも珍しくなくなった。ただ歩き過ぎた翌日はちょっとふくらはぎなどが張ったような感じになったり、「ちょっと疲れたな」という気分になることもある。実は今朝はちょっと腰の調子が変である。