Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

「人間万事塞翁が馬」(2016/05/31) 

自分の人生を振り返ってみても、文字通り「人間万事塞翁が馬」だと思うことである。
私の場合には大学入試では一期校(当時)に落ちたので、当時二期校だった鹿児島大学医学部に入局した。卒業して第三内科に入局、恩師となる井形先生との出会いがあり、神経難病を専門にすることになった。もし一期校に合格していたら、別の人生を歩んだだろうが、都市部での生活は上手くいかなかったのではないかと考える。
留学して帰国後、南九州病院に出張したが、そのまま大学に帰ることなく30年も居残ってしまった。大学に帰る機会はないわけではなかったが、南九州病院で仕事したことが結果的には多くの出逢いと運をもたらしてくれたと考えている。
また、2010年4月に南九州病院院長に就任して4か月後に、患者さんの寝タバコから病室火災に見舞われた。結構しんどいこともあったが、この後に医療安全管理と正面から立ち向かうことで、医療安全管理のさきがけの一人として厚労省の医療安全に関する各種委員会の仕事をすることになった。
先日の師長さん方との朝の連絡会議でも、この「人間万事塞翁が馬」について話をした。当院の経営がここ半年ほどで悪化している。日本の医療制度改革に伴うこともあるが、公認会計士の中﨑さんの「肥満病」という指摘は的を射ていると思った。患者さんへのサービス向上を図りたいという各部門からの要望を精査することなく、今年度も多数の職員を雇用してしまった。管理者として反省しなければならないことは多いが、今更である。
この機会を前向きにとらえて、みんなで危機感を共有し、南風の伝統でもある「危機に際して一致団結できる」という得難い病院文化でこの難局を乗り切りたい。「塞翁が馬」という言葉はあくまで困難をうまく切り抜けられた時に使える言葉だと思うので、近い将来、みんなで一緒にこの言葉を使いたいと思う。 たまたま読んでいたPHP6月号は「どんなときも、人生は楽しめる!」というタイトルである。この特集で何人かが「塞翁が馬」的な体験を語っている。
小林幸子といえば演歌の女王と呼ばれて、あの紅白のど派手な服装が印象的であるが、数年前にマネジャーとの確執で世のバッシングを受けたことでも有名である。この特集で「覚悟を決めると、心構えを向く」と題して、自らの体験を正直に語っている。
 「人間万事塞翁が馬」という言葉が昔から好きでした。人生、いいことばかりじゃないけれど、決して悪いことばかりでもない。このところ特に、その通りだと実感しています。・・・
 実際、スタッフや社員は誰ひとり辞めることなく、私を信じてついてきてくれたあとはもう「覚悟」しかない。そう思いました。覚悟ができると、不思議なことに心が前を向くんです。今までの私なら絶対にやらなかったことでも、求められればどんどんチャレンジしました。・・・プライドや肩書き、過去の栄光にしがみついて、自分を守ろうとしていたら、今の状況はなかったと思います。
・・・よく、「ひたむきに生きていれば、必ずどこかで誰かが見ていてくれている」と言いますが、本当にそうなのですね。今回の騒動でも、そのことをあらためて実感しました。