今後の日本の医療は?!(2016/05/30)
政治は生き物だとよく言われるが、医療供給体制なども国の方針により「気が付いてみたらこんなに変わってしまっていた」ということになりかねない。
鹿児島県では5月10日に、2025年の必要病床数を県地域医療構想委員会に報告した。その一つに高度急性期は1540床(1478床)、急性期は5534床(12155床)、回復期は7048床(3769床)、慢性期は5822床(8378床)というもので、急性期は6621床の過剰になっている。()内が2016時点の病床数。結論からいうと、高度急性期は現状維持、急性期(一般病床)を削減して回復期に誘導、慢性期は病院から在宅に、というものである。
医療供給体制からここ数年の日本の医療を考えると、7:1加算の入院基本料が看護師の数を確保するだけで患者の状況に関係なく申請できたために、多くの医療機関が競ってこの基本料で申請した。医療機関から算盤をはじくと、たとえ看護師を多く採用してもそれに見合うだけの収益が確保できたことで(まやかしの)急性期病院が乱立することになったのである。結果的には国の思惑の10倍の急性期病棟が出来上がってしまった。
そこで国は膨大な財政赤字解消の一環として、増え続ける医療費の抑制に乗り出した。もっとも即効的な効果につながるのは急性期病院の削減で、そのために2016年4月から7:1加算の入院基本料取得の条件として、重症度・医療看護必要度を15%から25%へと大幅に引き上げてしまったのである。この比率は全入院患者数に対する重症者患者の割合に依るので、この基準をクリアすることは従来急性期を担ってきた病院でも容易ではない。そこで、稼働率には多少は目をつぶってでも25%を死守しようという号令をかけた。
先日、県の医療担当の幹部と話し合う機会があったときには、「地域医療構想で県が医療機能別の割合の旗振りをするまでもなく、4月の診療報酬改定で国の求める必要病床数に自然と収れんされるのではないだろうか」という見通しを語っておられた。
ところがこの5月の県医師会報に、「地域医療連携推進法人に医師会、医師会立病院が参画するイメージ」という図案(垂直統合の図案)が掲載された。それはあるA都市を例にした地域医療連携推進法人で、都道府県医療審議会が都道府県知事に意見答申し、知事がその法人を認可・監督し、社員総会の座長も任命するというものである。社員総会はこの法人を構成する医師会立病院を含めていくつかの医療法人と介護事業の非営利法人から構成される。その地域関係者を含む社員総会では、統一的な連携推進法人の方針の決定、参加法人の統括(予算事業計画の指導または承認)などが議論される。おそらく参加している法人の個々の診療科ごとの診療レベルや内部留保金まで精査されるものと推測される。そしてこの法人は「グループ」としてのブランド力(競争力・信頼感)を持ち、地域住民を巻き込んだ連携がなされると明記されている。
この垂直統合のスキムは急性期病床削減の方策の切り札としてこれまで何度も出されてきたが、今回の診療報酬改定で急性期病床が必然的に減少を余儀なくされることより、立ち消えになったものかと考えていた。ところがこの時期に、新たに行政主導の図案が発表された根拠については想像するしかないが、大規模急性期病院を行政が支配(コントロール)する意志を明確にしたものとも受け取れる。すなわち、知事が任命する社員総会の座長の意見が重視され、座長に対して発言力のあるのは地域代表となる。地域代表に好意的な発言をしてもらえるには、患者を断らない、救急患者を家族がこの病院に搬送してもらってよかったと言ってくれるような病院でなければ生き残れないということになる。
この構図から見えてくるものは、高収益をあげられる急性期病院を垂直統合し、経営の効率化を図り、高収益をねん出して収益の半分を介護に支出させて、国の負担を少なくするということである。そしてブランド力のある病院群をつくって、そこでは新しい機器を購入して新薬の治験を行い、海外への輸出の基盤を作るというものである。(なおこの項は、当院の名誉院長がかねて話されていることを、私が勝手に要約したものである)。
鹿児島県では5月10日に、2025年の必要病床数を県地域医療構想委員会に報告した。その一つに高度急性期は1540床(1478床)、急性期は5534床(12155床)、回復期は7048床(3769床)、慢性期は5822床(8378床)というもので、急性期は6621床の過剰になっている。()内が2016時点の病床数。結論からいうと、高度急性期は現状維持、急性期(一般病床)を削減して回復期に誘導、慢性期は病院から在宅に、というものである。
医療供給体制からここ数年の日本の医療を考えると、7:1加算の入院基本料が看護師の数を確保するだけで患者の状況に関係なく申請できたために、多くの医療機関が競ってこの基本料で申請した。医療機関から算盤をはじくと、たとえ看護師を多く採用してもそれに見合うだけの収益が確保できたことで(まやかしの)急性期病院が乱立することになったのである。結果的には国の思惑の10倍の急性期病棟が出来上がってしまった。
そこで国は膨大な財政赤字解消の一環として、増え続ける医療費の抑制に乗り出した。もっとも即効的な効果につながるのは急性期病院の削減で、そのために2016年4月から7:1加算の入院基本料取得の条件として、重症度・医療看護必要度を15%から25%へと大幅に引き上げてしまったのである。この比率は全入院患者数に対する重症者患者の割合に依るので、この基準をクリアすることは従来急性期を担ってきた病院でも容易ではない。そこで、稼働率には多少は目をつぶってでも25%を死守しようという号令をかけた。
先日、県の医療担当の幹部と話し合う機会があったときには、「地域医療構想で県が医療機能別の割合の旗振りをするまでもなく、4月の診療報酬改定で国の求める必要病床数に自然と収れんされるのではないだろうか」という見通しを語っておられた。
ところがこの5月の県医師会報に、「地域医療連携推進法人に医師会、医師会立病院が参画するイメージ」という図案(垂直統合の図案)が掲載された。それはあるA都市を例にした地域医療連携推進法人で、都道府県医療審議会が都道府県知事に意見答申し、知事がその法人を認可・監督し、社員総会の座長も任命するというものである。社員総会はこの法人を構成する医師会立病院を含めていくつかの医療法人と介護事業の非営利法人から構成される。その地域関係者を含む社員総会では、統一的な連携推進法人の方針の決定、参加法人の統括(予算事業計画の指導または承認)などが議論される。おそらく参加している法人の個々の診療科ごとの診療レベルや内部留保金まで精査されるものと推測される。そしてこの法人は「グループ」としてのブランド力(競争力・信頼感)を持ち、地域住民を巻き込んだ連携がなされると明記されている。
この垂直統合のスキムは急性期病床削減の方策の切り札としてこれまで何度も出されてきたが、今回の診療報酬改定で急性期病床が必然的に減少を余儀なくされることより、立ち消えになったものかと考えていた。ところがこの時期に、新たに行政主導の図案が発表された根拠については想像するしかないが、大規模急性期病院を行政が支配(コントロール)する意志を明確にしたものとも受け取れる。すなわち、知事が任命する社員総会の座長の意見が重視され、座長に対して発言力のあるのは地域代表となる。地域代表に好意的な発言をしてもらえるには、患者を断らない、救急患者を家族がこの病院に搬送してもらってよかったと言ってくれるような病院でなければ生き残れないということになる。
この構図から見えてくるものは、高収益をあげられる急性期病院を垂直統合し、経営の効率化を図り、高収益をねん出して収益の半分を介護に支出させて、国の負担を少なくするということである。そしてブランド力のある病院群をつくって、そこでは新しい機器を購入して新薬の治験を行い、海外への輸出の基盤を作るというものである。(なおこの項は、当院の名誉院長がかねて話されていることを、私が勝手に要約したものである)。
