Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

突然死への対応(中)(2016/05/13) 

私の案じていたことが現実のものとなった。
 4月18日、この患者さんの奥さんが、A4の両面2枚にびっしりとタイプされた手紙を封筒に入れて(院長の私宛で、長男さんとの連名になっている)、外来の受付に持ってこられた(私は直接お会いしていない)。実にきちんと整理された文面で、「平成23年3月28日に急死しました夫、○○の病室での要態の急変に関しまして、疑問がございます」で始まっていた。そして、「臨終までの顛末を妻○○が列記致しましたので、ご多忙とは存じますが、夫が重篤扱いではなく、普通病室に入院した、その日に何故、短時間で人生の最期を迎えることになったのかを確認したく、カルテの開示(コピーをいただきたい)、当日の血液検査結果、A先生の見解を文章で私にご説明頂きたく存じます・・・・」というものだった。
 そして「妻○○が記す夫○○の臨終までの記録」という奥さんからみた詳細な記録に続いて、最後に「夫は享年64歳、院長は神経内科専門医で履歴からも絶大な信頼感を抱いていた私たち夫婦でした。南九州では大病院である御院で何なぜ、片手落ちのような処置を施されて最後を迎えなければならなかったか、22日経っても釈然としません。白黒をはっきりさせたい故人のため、そして家族の要望はかけがえのない夫であり一人息子の父親の『最後の戦いの記録』を遺しておきたいだけです。法的にどうのこうのと考えているわけでは一切ございません」と記されていた。
 早速A先生、そして事務部長と相談した。医学的には当院に重大な過誤があるようには思えないが、余りにも急な経過で亡くなられており、遺族の気持ちも十分によくわかること、またMRIの検査中に嘔吐した時の処置(仰向けで吸引されたと指摘されていた)など、当院としても至らない部分もあったことなどを考えて、A先生に誠実に客観的に事実を書いて頂くようにお願いした。
 A先生の電子カルテからまとめられた文章を私も読ませて貰い、そのまま郵送することにした。私も一言つけ加えるべきか迷ったが、A先生が的確に書いてくれていたのであえて加えないことにした。
 内容として当日の血液検査の結果と、「私としても一生懸命したつもりではありますが、大事な命をつなぎ止めておけず、誠に申し訳ございませんでした。カルテ記載については別紙2枚に示したとおりです。・・・大事なご主人を救ってあげられず申し訳ありませんでした。今言ってもしょうがないことかと思いますが、3月22日か23日ごろいらしてくれていれば何かしてあげられることがあったかも知れないと思いますが、でも事態は変わらなかったかも知れません。28日はご主人のために自分なりに一生懸命にはしたつもりではありますが、あまりに状態が悪く追いつけず、私にとってもとても衝撃的で、ただただ申し訳ありませんでした。私にできることは、この経験を今後の医療に生かさせていただきたいということです。
 最後にご主人のご冥福を心よりお祈り致します。4月21日」というA先生の気持ちも添えられていた。