Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

セイフティマネジメント研究会(中)(2016/06/29) 

のっけから本題とそれるのだが、この「挨拶」に重大な誤りがあることがわかった。私が察した通り、川村さんはやはり「犬党」であり、小澤さんの勘違いであることが判明したのである。その夜の懇親会でも「犬党」の内門先生、植田さんを交えて、「犬談義」で大いに盛り上がったが、犬猫にさほど関心のない人にとってはちょっと信じがたい中身である。
川村さんの犬は、高知で一人暮らしの母を元気づけるためにと飼っておられたそうだが、その母が病気を患ったので、川村先生にバトンタッチされることになったが、きちんと躾をしなければならない時期にその躾ができなくて、「わがままな犬」になってしまったようである(このあたりは人間様と同じか)。躾の再教育のために「幼稚犬園」に預けたのだが、馴染めずに、途中退学を言いつけられたそうだ。犬にも飼い主にも、それなりの苦労があることが初めてわかる。
ただ川村さんのすごいところは、犬との生活での観察を、医療安全にも生かしていることである。犬との散歩の途中で、犬が突然進路を直角に変えたことがあった。リードを持っていた川村さんの股関節には、大きな負荷が加わり「大腿骨頸部骨折」を覚悟したという。犬の行動を例にとりながら、わかりやすく解説されたのは流石である。
ついでに「挨拶」のことで・・・、川村さんの到着後、控室でお会いした時に、まず「先生、敢然と東京に進出はちょっと違うのじゃないですか」とクレームされた。ただ当時の状況を考えると、私には彼女らしいさっぱりした「転身」だったように思えるのである。彼女は平成10年前後、九州医務局の医療課長として医療安全のみならず国立病院の経営改革などで獅子奮迅の活躍をされ素晴らしい成果を残した。当時の慣習では、局が相応のその後の「ポスト」を用意してくれてもよかったはずである。ところが彼女はそのようなことを潔しとせず、自らの力で将来を開拓して行かれたのである。「私は過去を振り返らないことにしているの」とよく言われていたが、その後の足跡が見事に証明してくれている。
さて当日の朝、晴れ男の神通力なのか、予報を覆して雨は降っていない。いつものように病院に出かけて「日常」を済ませたのち、桜島桟橋前から電車に乗り基金の審査会場に向かった。そこでしばらく審査をしたのち、歩いて10時ごろに会場の自治会館に到着した。すでに受付ではテルモの社員がきびきびと立ち働いている。大講堂をのぞいてびっくりしたのは、講堂全体に隙間なく机と椅子が並べられ、それぞれに番号札が置かれていた。「今日は400人を超える応募者がありましたので、受付で混乱を来さないように、来られた順にカードを渡して指定席としました」と、支店長の小澤さんの弁である。
確かにどこの講演会場でも、日本では前と通路を挟んだ真ん中の席に空席が目立つことが多い(アメリカでは前の席から座る人が多いのだが)。私の経験でも講演の時に前の席に空席が多いと、ちょっとしらけて話しづらく感じる。この日は結果的には456人の参加者を数えたが、一つの席も空席になることなく整然とした会場になった。まさにテルモ社員のアイデアと苦労の賜と感謝することである。
午前の第一部のハンズオンは、「KYTで学ぶ転倒転落対策(パラマウントベッド株式会社)」と、「知っておきたい最近の栄養投与法(テルモ株式会社)」である。40人の参加者を2グループに分けて、実技も交えた有意義なハンズオンとなった。