Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

セイフティマネジメント研究会(前)(2016/06/28) 

第4回鹿児島セイフティマネジメント研究会学術集会が6月25日(土)、鹿児島県市町村自治会館で開催された。代表世話人としてのプログラム・抄録集の「挨拶」に、次のようなことを書いた。
次代を担える人材を育てよう              代表世話人 福永 秀敏
今回の特別講演のお願いに、テルモ(株)鹿児島支店長の小澤さんが杏林大学を訪ねた時のお話である。「飼っている猫ちゃんのお世話があるので、宿泊を要する講演は断っているのですが・・・」とは、川村治子先生のお言葉である。「猫と医療安全教育とはどちらが大事なのか!」と大上段に振りかぶりたいところだが、先生にはどうしても頭があがらない個人的事情がある。
平成10年4月に南九州病院院長になって、その7月に、肺がんの末期の患者さんの寝たばこにより病室火災を起こしてしまった。幸いにも大きな問題もなく鎮火できたが、患者さんは搬送された市立病院で亡くなられた。この時に、安定的な病院経営にとっては収益の増加を図ることも大切であるが、それ以上に大事なことはリスク管理ではないだろうかと直感した。たまたま九州医務局(現在の厚生局)の医療課長だった先生も病院のリスク管理と取り組んでおられたので、当院をモデルにして医療安全管理体制の構築をお願いした。先生には福岡から何度も足を運んでもらって、職員の意識改革からヒヤリハット報告とその収集、そして分析方法などを熱心に指導してもらったのである。
先生はその後、敢然と東京に「進出」し杏林大学に職を求めた。また厚労省の医療安全対策部会での指導的役割や、一万件を超えるヒヤリハット報告を元にその成果を医学書院からいくつかの良書として出版された。ところが数年前から、医療安全の領域とは少し距離をとられ、優秀な救命士を育てる仕事に精魂を傾けておられる。
昨年の世話人会で、「今回から、医療だけでなく福祉の現場での安全にも目を向けよう」という話題になったとき、今回の講師には川村先生を置いて他にいないと直感した。もちろんその時は、「大事な猫がいる」とはつゆ知らず(先生からは介護犬の養成の夢を聞いたことはあったが)、今回も甘えることにした次第である。先生と私とは性格的には大分異なるように感じているが、先生の誠実で物事に真正面から取り組まれる姿勢をいつも羨ましく思っている。高知の生まれの土佐高校の出身だと聞いていたので、私は勝手に「現代の女龍馬」と名付けていた。きっと先生らしい素晴らしい講演に出会えるものと期待している。
また今回からハンズオンに新しい試みも追加された。第一回目から行われてきたテルモ(株)のハンズオンに加えて、パラマウントベッド(株)も参加されて、合同テーマで「離床時の転倒、栄養剤投与の誤嚥のリスクに対する理解を深める」という企画となった。
シンポジウムでは「地域に求められる医療安全」というテーマで、内門・植田先生の司会により「多職種(医師、看護師、薬剤師、理学療法士)で地域での医療安全を考えていこう」というものである。
組織の持続的な発展のためには、人材の育成は最も重要なことである。もの(建物や設備)は金があればすぐにでも調達できるが、人はそういう訳に行かない。各病院・施設で次代を担える人材をみんなで育てていこう。(終)