多系統萎縮症(MSA)(前)(2016/06/02)
毎週月曜日の午後、鹿児島県難病相談・支援センターで医療相談を受けているが、その相談から見えてくるものをまとめると、次のようになる。
人、それぞれの悩みを抱えている。解決の糸口は見つかりにくい。私がせいぜいできることは、お話を伺いながらの現状分析と今後の見通し、公的サービスの紹介などである。ただいつも心がけていることは、できるだけ明るく、元気が少しでも出ればいいがということである。
神経難病の一つに多系統萎縮症(MSA)という病気がある。素人にはイメージしにくい病気の典型ともいえるが、指定難病にもなっており、療養生活の厳しさという点ではALSにもひけをとらない難病といえる。
まず病気の簡単な説明をすれば、従来のオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、線状体黒質変性症(SND)、シャイ・ドレーガー症候群を包括した臨床病理学的概念である。前二者は病理学的に障害の強い部位を列挙した病名で、シャイ・ドレーガーとはこの病気を最初に報告した二人の研究者の名前である。
私は患者さんへの説明では、「人間の体は錘体路系、錐体外路系、小脳系、自律神経系などが巧くシステム化されて緻密な動きを可能にしているが、これらのシステムを司る中脳や被殻という場所に障害が起きるのがこの病気である」と説明するのだが、なかなか分かっていただけない。
症状としては小脳性の運動失調(歩行時のふらつき、箸を持つことや字を書くことができなくなる、ろれつが回らなくなる)、錐体外路症状(固縮、寡動、転びやすい)、自律神経症状(起立性低血圧、失神、排尿障害、便秘)、嚥下障害、声帯外転麻痺による嗄声、睡眠時無呼吸症候群などと多彩である。
原因は不明で、そのため有効な治療法はなく対症的である。
最近、難病相談・支援センターの医療相談で、立て続けに2件の相談事例があった。患者さんも相談者も、40歳代から50歳代とまだ若い。
一例目の相談の方は40歳代後半の患者さん本人(車椅子)と、ご主人、患者さんのお姉さんの3人で訪れた。偶然にもお姉さんは、私が研修医の頃に夜間の当直に行っていた病院に8年間ほど務めており、再会を懐かしがってくれた。また患者さんの住所も、私の郷里と近いこともあっていろいろと話は弾んだ。
この女性、保育士として働いていたが、40歳の前半、同僚から体の動きが悪いとの指摘を受けた。脳外科などを受診して、最終的にはMSAという診断をくだされた。発病して4年ほどになるが、現在でも家の中では伝い歩きが可能で、食事もどうにか自分で摂れるという。身体のリハビリのために近くの病院と、言語聴覚士に言葉のリハビリを受けるために車で30分ほどかけて別の病院にも週に一回通院している。ご主人は近くの漬物工場で働いており、子供は高校生(17歳)と中学生(14歳)である。
私の説明に夫と姉は時々涙ぐむようなときもあるが、ご本人は病気のためか比較的楽天的に感じられる。
人、それぞれの悩みを抱えている。解決の糸口は見つかりにくい。私がせいぜいできることは、お話を伺いながらの現状分析と今後の見通し、公的サービスの紹介などである。ただいつも心がけていることは、できるだけ明るく、元気が少しでも出ればいいがということである。
神経難病の一つに多系統萎縮症(MSA)という病気がある。素人にはイメージしにくい病気の典型ともいえるが、指定難病にもなっており、療養生活の厳しさという点ではALSにもひけをとらない難病といえる。
まず病気の簡単な説明をすれば、従来のオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)、線状体黒質変性症(SND)、シャイ・ドレーガー症候群を包括した臨床病理学的概念である。前二者は病理学的に障害の強い部位を列挙した病名で、シャイ・ドレーガーとはこの病気を最初に報告した二人の研究者の名前である。
私は患者さんへの説明では、「人間の体は錘体路系、錐体外路系、小脳系、自律神経系などが巧くシステム化されて緻密な動きを可能にしているが、これらのシステムを司る中脳や被殻という場所に障害が起きるのがこの病気である」と説明するのだが、なかなか分かっていただけない。
症状としては小脳性の運動失調(歩行時のふらつき、箸を持つことや字を書くことができなくなる、ろれつが回らなくなる)、錐体外路症状(固縮、寡動、転びやすい)、自律神経症状(起立性低血圧、失神、排尿障害、便秘)、嚥下障害、声帯外転麻痺による嗄声、睡眠時無呼吸症候群などと多彩である。
原因は不明で、そのため有効な治療法はなく対症的である。
最近、難病相談・支援センターの医療相談で、立て続けに2件の相談事例があった。患者さんも相談者も、40歳代から50歳代とまだ若い。
一例目の相談の方は40歳代後半の患者さん本人(車椅子)と、ご主人、患者さんのお姉さんの3人で訪れた。偶然にもお姉さんは、私が研修医の頃に夜間の当直に行っていた病院に8年間ほど務めており、再会を懐かしがってくれた。また患者さんの住所も、私の郷里と近いこともあっていろいろと話は弾んだ。
この女性、保育士として働いていたが、40歳の前半、同僚から体の動きが悪いとの指摘を受けた。脳外科などを受診して、最終的にはMSAという診断をくだされた。発病して4年ほどになるが、現在でも家の中では伝い歩きが可能で、食事もどうにか自分で摂れるという。身体のリハビリのために近くの病院と、言語聴覚士に言葉のリハビリを受けるために車で30分ほどかけて別の病院にも週に一回通院している。ご主人は近くの漬物工場で働いており、子供は高校生(17歳)と中学生(14歳)である。
私の説明に夫と姉は時々涙ぐむようなときもあるが、ご本人は病気のためか比較的楽天的に感じられる。
