Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

人生何度でも立ち直れる(2016/07/08) 

今月のPHP(2018年7月号)の特集は、「人生何度でも立ち直れる 『どん底』が心を強くする」というものである。
 長い人生、だれしも多かれ少なかれ、大変な事態に遭遇し、目の前が真っ暗になるような経験を持っているのではないだろうか。その程度も内容もさまざまだろうが、挫折やどん底を一度も経験しないひとはこの世にいなだろう。そのような試練が、心を強くしていくのだと思う。
 まず山本昌(元中日の投手で、50歳まで現役でプレーした)は「崖っぷちに、チャンスは転がっている」というタイトルで、文字通り解雇通告寸前から、ある人との出会いでチャンスをつかみ這い上がれたという経験を淡々と話されている。
 山本は1985年にドラフト5位で入団したが、最初の4年間は一勝もできずに、5年目のシーズンにフロリダに留学させてもらったのがきっかけとなった。そこでドジャーズの球団職員だったアイク生原さんと出逢い、「新しい変化球を覚えなさい」というアドバイスをもらった。たまたま練習中にある内野手がキャッチボールをしているのを見て、その変化球を教えてもらったのがスクリューボールである。この球に磨きをかけて、200勝投手になったのである。
 May Jさんについて私はよく知らなかったが、2014年の映画「アナと雪の女王」の日本語版主題歌を担当した歌手だという。18歳で歌手デビューしたが、鳴かず飛ばずの不遇な時代が続いた。ある時にテレビのカラオケ採点番組への出演オファーがあった。「プロなのにからおけ?」とか、「素人と競うなんて」という声も聞こえてきたが、結果的には「なりふり構わず挑戦してチャンスをつかんだ」のである。最後に、「一喜一憂せず、そのときにできることを一所懸命すれば、きっとどんなことも乗り越えていける」と結んでいる。
 高木慶子さん(上智大学グリーフケア研究所特任所長)は、「絶望があなたを強くしてくれる」というタイトルで、30年ほど前に「腎臓がんで余命3ヶ月という宣告を受けた(幸いにも良性であることがわかった)」時と、「グリーフケア研究所を開校寸前に、その大学が廃校になった」ことを例にあげている。
 そして「人智をはるかに超えた大いなる存在『サムシング・グレート』が私たち見守ってくれていると信じ、逃げずに正面から立ち向かっていく。その過程で、今まで全く知らなかった強さが、自分の中にあることを知るのです」と述べておられる。
 7月5日の今年入職した新人との語る会で、次のような話をした。
 私自身はどちらかというと「試練に弱い」性格だと自己分析している。そのため、できるだけ試練に立ち向かわないで済む選択をしてきたように思う。ただ今人生を振り返って考える時、試練に直面した時には進んで困難な道を選ばれた方が、達成感も大きいし、その人をより強くしてくれるように思う。人間は大きな試練に敢然と立ち向かい、多くの挫折を乗り越えた人が本当の人間だと思う。