Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

オリンピックの観戦(2016/08/24) 

この4月から南日本新聞の「すいもあまいも(373相談室)」というものを担当している。読者の質問に「真面目に」紙面回答するものである。自分がこのようなコーナーを担当すると、同じような質問に対して先達がどのように答えているのか気に留めるようになった。例えばPHPの土屋教授の「オタスケ!人生相談」は、お茶の水女子大学名誉教授で哲学者でありながら洒脱な随筆でも有名な先生によるものだが、その回答はいい加減?!で、思わず吹き出してしまいそうな面白味がある。それでも核心を外していないところはさすがだと思うことも多い。
 また日経新聞の日曜版では、直木賞作家の石田衣良氏が「なやみのとびら」を担当している。8月6日の質問は「どきどきしてスポーツを生で観戦できません」(東京都・女性・50代)というタイトルで、「サッカー観戦で、途中経過は確認できず、結果をネット検索する際も操作する手が震えるほどです・・・」というものだった。
 この質問を読みながら、世の中には似たような人がいるものだと思うことである。私もオリンピックの卓球やテニス、バレーボールなど、点数が刻一刻目まぐるしく変わるような試合を観戦しながら、しばらくテレビを消してから結果が分かったころに観ることもある。
 ところで石田さんの回答は次のようなものである。
 ・・・ぼくもあなたと同じ50代。自分でもそろそろ勝ち負けといった幼稚な二分法から卒業しようと思っています。なあに実際の人生だって、スポーツと同じように「遊び」みたいなもの。勝敗ばかり気にせずに、のんびりと人生というゲームそのものを楽しんでいけばいいのです。勝ってもたのしい、負けても楽しい。それがスポーツです。・・・
 さすがに石田さん、割り切ることの重要さから生き方まで敷衍している。
 私の従弟の子どもである「こてる日記」のテル君(青雲会病院副院長)は、別の角度からこの問題に言及している。
 ぎりぎりの場面での精神力の差が勝負を分ける場面がテニスだけでなくバレーボール、卓球、バドミントンなどネット型球技には多い。それは一見有利な側が「勝てるはず」と気持ちが先走り「だから慎重に」となったときにいつもの動きが出来なくなる。選手にとっては恐怖の場面、そこを乗り越えないと勝者にはなれない。今回のオリンピックではそんな場面が多くある。だから観戦は止められないわ。
 いずれにせよ、スポーツ観戦は選手にとっても観戦者にとっても、ワクワクドキドキの緊張状態を醸し出す。それこそがスポーツのだいご味なのだろう。