Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

「認知症の症状?友人が気がかり」(2016/10/17) 

今回の相談は友人が「どうも認知症のように思えるのだけど、本人や家族にどのように知らせたらいいか」というものである。程度や状況により一概には答えられないが、一応見解を述べなければならない立場にある。土屋教授によれば、「人の相談に乗って助言する人は全員無責任です」ということだそうである。
(相談内容)
 昔働いていた同僚数人と、月1回のペースで食事会を開いています。そのうちの一人の様子が最近、気に掛かります。同じようなことを何度も繰り返し話したり、みんなで盛り上がってていてもぼんやりしていたりします。昔は仕事ができてとても聡明な先輩だっただけに、変化を感じます。認知症ではないかと疑うのですが、本人にはとても言えません。ご家族に相談した方がいいとも考えますが、どう伝えていいか分からず、二の足を踏んでいます。(70代女性)
(回答)
 私は現在、鹿児島県の難病相談・支援センターで相談を受けています。そこではまず、「病気の経過(重症度)も環境もそれぞれで、全ての人に当てはまる正解はない」とお話しします。この方の場合、年齢や症状を考えると「年相応のもの忘れ」というより認知症の初期である可能性が考えられます。家族にはひと言告げるべきだと考えます。でも本人と家族への告知は簡単ではありません。
 がんの告知は、患者の「知る権利」の尊重が根底にありましたが、有効な治療法が見いだされ、本人に闘病の気構えを持ってほしいということから一般的になりました。現役世代の場合には、亡き後の家族の生活や仕事の整理をやり終える時間が必要となります。
 認知症の場合、医師との出会いが重要です。患者に寄り添い、家族のメンタルケアやアフターケアまで考えてくれる医師がいいです。告知は、医師との信頼関係を築きながら、段階的に少しずつがいいでしょう。
 告知後、「知ってよかった」と「知りたくなかった」と思う人に分かれますが、「早期発見、早期絶望」だけは避けたいものです。本人が今後の生き方を前向きに捉えられるよう、周囲が環境を整えることが重要です。
 進行を遅らせる治療薬やリハビリ療法も試みられています。根本的な治療薬が開発される日も近いと思います。