Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

消化器内科の改革(後)(2016/12/20) 

まず大きなポイントは、今まで消化器病センターで行われてきた外来診察と検査を分けて、外来は他の診療科と同じ本館一階に移すことになった。このことに関しては何度も説明してきたが、一階や二階の狭い外来スペースに今回消化器内科の患者まで来ることになると大混雑を来すのではないかという心配である。実は私自身も最初に説明を受けた時には唐突な感じを受けたが、何度も説明を受ける中で「現在必要な改革である」と思うようになった。
ここで頭を切り替えなくてはいけないのは、「専門への特化」ということではないだろうか。現在までの医学教育では全人的な医療が強調され、臓器を見ないで人を診よと教えられてきた。ただ今後、短い時間で効率的に患者の診察を行わなければ存続しがたくなってきている現在の急性期医療では、専門医療(診療科の特色にも依るだろうが、私の専門の神経学や内分泌など相互の連関で病気が見られ領域では難しい面もある。そのような点では消化器は専門の特化はしやすい領域かと思う)的な手法もやむを得ないのではないかと思われる。
このことに関して先生は、直近に自ら聖路加国際病院を受診された経験なども参考にしながら、次のような提案をされている。
① 消化器内科を受診される患者はまず、電話なりで診察番号を取得する(たとえ都合で受診されなくてもかまわない。番号は病院のコンピューターに登録されて、受診された時には書類が用意されている)。
② 外来窓口から直接、専門外来ブースに行く(当院の場合、現状では専門外来ははっきり区別されていないが)。そこで3枚のA4の紙を渡される(一枚目は主訴など○×式で、二枚目は消化器以外の症状を患者自ら書き込む、三枚目は腹部を表した図に、痛い場所など書き込む)。
③ この紙を持ってブースに行き、検査の指示を受ける(尿、採血、心電図、腹部エコーなど)
④ 検査が済んだら紙をブースに提出する。
⑤ 診察室で、医師がコンピューター画面を見ながら診察し、必要なら内視鏡などの指示を行う。医師は専門に特化して、主訴の消化器症状以外の愁訴については、あとで再受診してもらうか、紹介する近医で診てもらう。現場ではこの辺りの按配に苦慮すると思われるが、急性期病院における特化した診療はこのようになっているのだと割り切るしかない。さまざまな理由で再診の必要な患者は、土曜日なり先生方の都合のいい時間帯に別途設定することは可能である。
⑥ 内視鏡などの終わった患者は、現在の消化器病センターで結果説明(堀先生と西俣先生)を行い、近医に紹介する。近医は薬物治療やまたその他の症状に対する治療(必要なら、再度、専門治療に紹介しなければならないこともあろうが)が行えるので、見方を変えれば、ウイン・ウインの関係になれる。西俣先生は聖路加病院で「二人主治医制」という文言をよく目にされたそうだが、まさにこのことだったのかと合点が行ったという。「南風に紹介したら、患者をとられてしまう」とか「すべて検査され、治療もやってしまうので、何もすることがない」という批判にも応えられる。
このようなシステムが定着すれば、患者の流れもスムースになり、外来が混雑することはない。先生への聖路加病院での医師の診察時間も5分も要しなかったということだが、特殊な場合を除いて5分もあれば十分だろう。また検査等も徹底的に合理化されており、靴を履いたままの検査で、エコーなどの後のゼリー拭きなど患者自身でするようになっていたという。 
         病院は生き物であり、あらかじめ受診される患者数や入院患者数を正確には予測できない。おそらく、時には外来が溢れ返る日もあるかも知れないが、患者の流れがスムースになれば、さして混むことなく目標に達成できるのではないだろうか。