Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

医療安全研修アドバンスコース(中)(2016/12/02) 

★ 事前の準備として         ① 関連する事実をすべて見直しておく。診療経過、家族関係、患者・家族の理解力、十全に伝わっている事実、患者家族からの要望。
② 話す内容を固める。現時点で話すことができること(分らないこと)。今後の見通しと約束。
③ ふさわしい参加者を選ぶ。当事者を参加させるかどうか。
④ 話し合いをする環境を整える。時間、場所、記録者。
        「謝罪について」、患者や家族とのコミュニケーションで、謝罪はしてもいいのだろうか、法律上、裁判上、過剰に不利な立場になってしまわないだろうか?(過失を認めたことにならないだろうか、慰謝料等の増額に結びつかないだろうか)という心配について。
★ 「裁判における謝罪の取り扱い」について。
        謝罪には2種類あると言われる。
①責任承認:事故の法的責任を認める意味での謝罪。たとえば、「ミスをして申し訳ありません」。
②共感表明:不利益を被った人への自然な共感的感情から生じた申し訳なさを表現するもの。例えば「最善は尽くしたのですが、ご期待に沿えず申し訳ありませんでした」。
★ 「過失判断における責任承認の取り扱い」について。
① 過失を認めたことにならないだろうか。⇒過失を認定するにあたって、謝罪(診療上の判断に誤りがあったことを認める謝罪)があったことを事実の一つとして考慮した裁判例はある。そのため、責任承認の場合は、過失判断の一要素となりうるので、「責任承認」は慎重にする必要がある。病院の組織的検討、保険会社との調整をへて、病院が法的賠償を行うことを決定した時にのみ行うべき。
② ただし、裁判所は過失の判断にあたって、謝罪の事実を重要視しているわけではない。
★ 「過失判断における共感表明の取り扱い」
        「共感表明」を「責任承認」と同様に捉え、過失の認定をした裁判例は見当たらない。したがって、「共感表明」を躊躇する必要はない。
また長尾先生の「予期せぬ死亡とは」の講演では、本制度における医療事故の範囲を次のように定義した。
① 医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産
② 管理者が予期しなかったもの
★ 届け出対象(予期しなかったものとは?):輸血過誤、薬剤過剰投与、薬剤誤投与、禁忌薬剤投与、患者誤認、部位誤認、左右誤認、ポンプ設定ミス、ルール違反、放射線過剰投与、体内異物遺残、異常値の見落とし、機器の誤操作
★ 届け出外対象(予期していた?):検査中の事故、手術中の事故、処置中の事故、合併症、転倒骨折、術後感染、胃カメラで消化管穿孔、気管支鏡中に脳梗塞、練度の低いものが関与
2事例について医療事故として医療事故調査・支援センターに報告すべきかどうか?、みんなで議論した。