Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

夜間に手術のできる病院(2017/03/24) 

先日、連携室の荒川課長からの電話、「○○クリニックから96歳の気管支肺炎の男性の診察(入院)依頼を受けていますが・・・内科当番にあたっているのですが、どの診療科も都合がつかずに。先日の医療連携会で『当院は断りません』と大きな声で言ったばかりで断るのは間が悪いのですが・・・」という悲鳴である。結果的には腎臓内科の福元先生が快く引き受けてくれて感謝している。「断ったら、○○クリニックからは紹介を貰えなくなりますから」は正しい判断だと思う。それぞれの先生方の事情は察するが、今後もどうにかして受けてほしい。
         ただ皆さん、努力してくれている結果だと思うが、22日の救急患者数は11人と多く、また3月の救急患者数は目標より多くなっていて有難いと思っている。
         話は変わるが、朝の師長さん方の申し送りで、「夜間に搬送されてそのまま手術となり、朝2時にICUに入室」というような報告が続いている。深夜帯にもかかわらず普通に淡々と「業務」が行われていることを誇りとしたいし、関わってくれている多くのスタッフに感謝したい。
         もう何年も前のこと、当時南九州病院にいたころ、「夜間に手術できる病院がない」というタイトルで「雑感」を書いたことがあった。大方、次のような内容だった。
         2011年12月8日の朝日新聞朝刊で、次のような記事が目に留まった。
         「厚生労働省は7日、当直明けの外科医に、手術の予定を入れないように取り組む病院について、来年度から診療報酬の加算対象に加える方針を固めた。勤務医の負担軽減策の一環。・・・」というものである。 
         この記事を読んで、当時の厚労省の役人(霞ヶ関)がいかに地方の医療の実態に疎いかがよくわかる。この記事では続いて「当直疲れが原因で、手術時に医療事故や、事故には至らないミスの経験があるのは4%、事故経験はないが手術の質が低下することが多い、まれにあると答えたのは83%に達し、医療安全に影響があると判断した」とある。
         多くの地方の病院では、医師は好んで過重労働をしているわけでもなければ、また管理者もそれをよしとしているわけでもない。多くの病院では慢性的な医師不足で、地域医療を担わなければならないという責任感で、多くの外科医が当直明けの手術を余儀なくされているのである。代わる人がいないのである。
         くしくもこの記事が掲載された前夜、姶良郡医師会管内の主だった病院の院長と外科医(主に消化器外科)、そして大学病院の教授(旧1,2外科)が鹿児島市内のホテルに参集して、「姶良郡での特に夜間の消化器系の救急患者に、どのように対応していったらよいか」という緊急の話し合いがもたれた。当院からは私と、塗木・内倉の両先生が出席したが、近隣の病院の現状を聞きながら、地域医療は私の想像をはるかに超えて崩壊が進んでいることを実感したのである。
         さて私の勤めている南九州病院は姶良市(加治木町)にあるが、隣の霧島市と合わせて姶良郡医師会に属している。人口は姶良市が約7万5千人、霧島市が12万8千人で、両市を合わせると20万人を超え、鹿児島市に次ぐ人口規模となっている。ところがこの地域で、虫垂炎や腹膜炎、イレウス、胃腸の穿孔といったような消化器疾患の夜間の救急に、対応できにくくなっている。・・・(この後、具体的に各病院の事情を書いている)。
         先日、地域医療連携会の時、生協病院の山下院長と「このこと」について雑談した。「夜間は、霧島市医師会医療センターか南風病院にお願いしています」ということだった。私も南九州の院長時代、救急医療を南九州病院でも実現したいと思ったが、結果的にはできなかった。南風病院に来て感じることだが、救急医療は病院の、そして担当者の献身的な努力で成り立っているということである。現在問題視されている労働時間など、杓子定規に行かないことが多いのも現実である。