Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

全てがうまくいくと・・・(2017/03/23) 

先日、一枚の葉書をもらった。書き出しは次のようになっていた。
         拝啓 貴院□□□号室に先日まで入院させていただいた前田圭介の叔父○○でございます。思ってもいない短日時で退院させていただきました。貴院先生方の技術の高さに驚くほかございません。入院中、思いもよらぬ御来室、激励を賜り、驚きの限りでした。・・・
 遡ること3月3日(金)、ハートピアで難病医療講演会「災害時の食べる支援~要支援者に~」が開催されたが、講師は玉名地域保健医療センター摂食嚥下栄養療法科の前田圭介医師となっていた。主催の県難病相談・支援センター(一応私が非常勤の所長を併任している)の作成した講師のプロフィールは次のようになっていた。
         1974年鹿児島県出身、鹿屋高校卒業後、1998年熊本大学医学部卒。2002年から消化器外科大学院に。2005年より僻地病院、急性期病院、介護施設、回復期リハビリテーション病院等で診療。11年より現職。高齢者の嚥下障害と栄養障害を専門に診療と臨床研究を行っている。2016年4月の熊本震災では、自身が被災しながらも、熊本市内の避難所を回り、続発症予防の啓発を行う。発震からわずか4日で、熊本地震多職種摂食サポートチームを指導。多面的・包括的アプローチである「食べる支援」を実践的に行っている。
         そしてびっくりしたのが、論文の多さで2016年だけでも英文で9編を投稿している。「すごいですね」と称賛したら、「この部門はまだよく知られていない領域ですので」と謙遜された。趣味はテニス、スタートレック、子育てとなっている。
         私は講演会には参加できなかったので、その夜の鹿児島中央駅近くの「黒豚百貫」での懇親会に出席したが、前田先生とはこの時が初対面となった。講演を聴いたセンターの職員からも「2時間の講演時間でしたがずっと引き込まれて、目からうろこの落ちるような話でした」というような感想が聞かれた。
         この夜、私も楽しく歓談したが、「郷に入りて郷に従え」のたとえ通り、もともとは消化器外科医だったが、たまたま赴任した現在の職場で、やらなければならないと思ったことをやってきたことが、今の成果につながっているように思える。趣味の欄のテニスでは、高校の時にはダブルスで県の大会で優勝したという。また「子育て」では、長男と三つ子の4人で、アメリカへの留学が決まっていたときに三つ子とわかり、断念したことなどを語ってくれた。その三つ子も小学5年生となり、元気に学校に通っているという。
         別れる間際に、「叔父が南風病院に入院したと聞きましたのでよろしく」ということだったので、早速、病室を訪問したという次第である。
         現在、70歳代後半であるが矍鑠とされており、中学校の校長を定年退職されておられ、話すうちに私の高校の先輩でもあることが分かった。「前田はどうして入院していることを知ったのかな。・・・実は腎臓内科の内田先生には長いことお世話になっていて、もう十数年この病院(仁クリニック)で透析をしていただいております。最近、貧血になりまして、鉄分を投与しても改善しないものですから、どこか消化管から出血があるのではないだろうかということで、大腸カメラをしてもらいました。そしたら回盲部にがんが見つかりましてね。担当の先生の話では、普通はこの場所まではチェックしないそうですが・・・本当に運が良かったです。早速入院となり、腹腔鏡下で手術してもらいました。透析も定期的にしながらですからねえ・・・この病院でしかできないことです」と元気そうに話されていた。
         内田先生の慧眼、消化器内科の的確な診断、外科(佐藤先生、勝江先生など)チームの確かな技術、当院の誇るべきチーム連携の賜であると思いたい。