Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

健診模様(8)(2017/04/20) 

次の健診の方の名前の欄には「福田和子」と記されている。隣でパソコンを操作してくれる松下さんと「きっと、冷やかされたでしょうね」と、苦笑いしながら部屋に入って来られるのを健診者を待つ。
       人のよさそうなもうすぐ還暦前の女性である。診察しながら「あの福田さんですよね。今まで気に障るようなことはありませんでしたか・・・」と切り出すと、待っていましたとばかりに、「もう何度も言われてきました。子供が小学校の頃、PTAでも名前を呼ばれると、よく男性の保護者からからかわれていました・・・母は名前を変えてもいいんだよとまで言ってくれたこともありました。でも結婚してこの名前になったのですから」。
       「福田和子」というと、強盗殺人犯で、逮捕されるまでに顔の整形等しながら15年にも及ぶ逃走劇で知られる。「でも、一度だけ得したこともあるんですよ。当時、フェリーに乗船するときに名簿に名前を書いたら、疑いの目で見られたことをある雑誌のコラム欄に書いたら取り上げてくれたんですよ。ご褒美に、テレホンカード一枚だけ送られてきましたが」。ただでは起きない、したたかさも兼ね備えた女性だと感心することである。
       この方の話では、その福田和子は独房で亡くなったということである。
       50歳代のこの男性、生年月日が4月1日となっている。
       「珍しい日に生まれましたね。きっと親が役場に届ける時に日付を間違われたのではないですか」と問いかける。「よくわかりましたね。実は3月31日に生まれたそうですが、気を使って一日ずらしたそうなんですよ。2日からが、次の学年と分かったときには後の祭りということです。でもお蔭で、人より一年長く仕事ができましたので、怪我の功名というやつですよ」。「かけっこなど、遅かったでしょう」と言うと、「それがですね、体は小さかったけど、6年生までずっとかけっこは一番でした」という。
       分らないものである。
       ただ現在では病院で出産するケースが多いので、小手先の届け出の変更はできなくなっているとか。
       昨日来られた56歳の女性、孫が小学校に入学したという。そして4代続けて「卯年」生まれの女性だという。世の中、偶然もあるものである。