在宅ひとり死(前)(2017/04/13)
ナカノ在宅医療連携拠点センター設立記念講演会と祝賀会が4月8日、城山観光ホテルで、300人近くが参加して盛大に開催された。一部は中野先生と上野千鶴子先生(元東大教授、現在NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長、社会学者)の講演、二部が祝賀会という構成だった。
主催者の中野先生は旧第三内科に入局後、丸山征郎先生の検査部に異動し、1999年にナカノ在宅医療クリニックを立ち上げ、現在の姿へと発展させている。私は40年ほど前から難病の在宅ケアシステムを手がけてきたが、中野先生とは直接の繋がりはない。彼が中心になっているメーリングリストにも誘われてしばらく参加していたが、現在はやめている。ただ急性期病院として、時々中野先生の関係している在宅患者が救急搬送されてくるので、そのような関わりは続いている。
さて上野先生は、2007年に『おひとりさまの老後』を刊行して日本中で大きな話題となった。そして2015年に『おひとりさまの最期』と題する著書を発表して、高齢者の介護や看取りに関する研究と発言を積極的に行っている。
この日の講演でも「孤独死と呼ばれるのは、大きなお世話で私は『在宅ひとり死』」と定義したい」から始まって、2007~2015年の8年間に、「おひとりさま」、つまり独居の高齢者が大幅に増えたことを挙げた。ベストセラーとなった『おひとりさまの老後』は「人口学的少数派に向けて書いたが、もはやそうではなくなった。“時代が私に追いついた”のだと笑いを取っていた。
「在宅ひとり死」をまっとうするための条件について、かつては語られた“家族がいること”ではなく、“外部のノイズがないこと”と“関係者が少ないこと”を挙げる声が増えてきた。在宅死をまっとうするのに「おひとりさまでも大丈夫」と言われるようになった。すごく時代が変わった。「“家にいたい”は高齢者の悲願。8割以上の高齢者が“本当は家で死にたい”と考えている」。そこで高齢者の希望なら、在宅の受け皿を作りたい。生まれる時には助産師にお世話になるのだから、“助逝師”はどうだろうか。
それでは日本では「なぜ在宅死が増えないか」、同氏が考える“抵抗勢力”と“阻害要因”を2つずつ挙げた。抵抗勢力の第1は、家族。第2は「病院以外での死」に目を向けようとしない(一部の)医療従事者だとした。阻害要因は何か。第1は、高齢者施設の入居のハードルの低さと第2は経済力だという。
こうした抵抗勢力や阻害要因を乗り越え、在宅死をまっとうするための条件として、4つを挙げる。第1に、本人の意思。第2に、介護力のある同居家族の同意。第3に、地域の医療資源。第4に、経済力。
一時間の講演だったが、さすがに聞くものを飽きさせない。
主催者の中野先生は旧第三内科に入局後、丸山征郎先生の検査部に異動し、1999年にナカノ在宅医療クリニックを立ち上げ、現在の姿へと発展させている。私は40年ほど前から難病の在宅ケアシステムを手がけてきたが、中野先生とは直接の繋がりはない。彼が中心になっているメーリングリストにも誘われてしばらく参加していたが、現在はやめている。ただ急性期病院として、時々中野先生の関係している在宅患者が救急搬送されてくるので、そのような関わりは続いている。
さて上野先生は、2007年に『おひとりさまの老後』を刊行して日本中で大きな話題となった。そして2015年に『おひとりさまの最期』と題する著書を発表して、高齢者の介護や看取りに関する研究と発言を積極的に行っている。
この日の講演でも「孤独死と呼ばれるのは、大きなお世話で私は『在宅ひとり死』」と定義したい」から始まって、2007~2015年の8年間に、「おひとりさま」、つまり独居の高齢者が大幅に増えたことを挙げた。ベストセラーとなった『おひとりさまの老後』は「人口学的少数派に向けて書いたが、もはやそうではなくなった。“時代が私に追いついた”のだと笑いを取っていた。
「在宅ひとり死」をまっとうするための条件について、かつては語られた“家族がいること”ではなく、“外部のノイズがないこと”と“関係者が少ないこと”を挙げる声が増えてきた。在宅死をまっとうするのに「おひとりさまでも大丈夫」と言われるようになった。すごく時代が変わった。「“家にいたい”は高齢者の悲願。8割以上の高齢者が“本当は家で死にたい”と考えている」。そこで高齢者の希望なら、在宅の受け皿を作りたい。生まれる時には助産師にお世話になるのだから、“助逝師”はどうだろうか。
それでは日本では「なぜ在宅死が増えないか」、同氏が考える“抵抗勢力”と“阻害要因”を2つずつ挙げた。抵抗勢力の第1は、家族。第2は「病院以外での死」に目を向けようとしない(一部の)医療従事者だとした。阻害要因は何か。第1は、高齢者施設の入居のハードルの低さと第2は経済力だという。
こうした抵抗勢力や阻害要因を乗り越え、在宅死をまっとうするための条件として、4つを挙げる。第1に、本人の意思。第2に、介護力のある同居家族の同意。第3に、地域の医療資源。第4に、経済力。
一時間の講演だったが、さすがに聞くものを飽きさせない。
