Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

夏の難病対策委員会(中)(2017/07/25) 

会場には14時30分過ぎに着き、15時からまず難病対策委員会が始まった。
今回の議事(1)は「難病対策の現状(基本方針の取組状況)についてである」。今まで議論されてきたことの整理のようなもので、かって何度も議論された事柄も多い。患者会の森委員から「指定難病から落ちた軽症患者のデータベースへの登録もお願いしたい」という意見が出された。この問題も委員会の初期のころに、かなり議論されたものである。ただそうなると、パーキンソン病のように数の多い病気では、担当医師の負担は相当なものがある。今回の臨床個人調査票の項目は8ページにもわたっており、コンピュータに登録されていないと一人の患者に20分ほどを要する。きちんとしたデータベース化をめざすとなると詳細な調査票になり、担当医師の負担は大きくなる。どのあたりで折り合いを付けていくかは、何度も議論された部分である。この委員会のメンバーでも私はもっとも古株の一人となり、当初からの委員はほとんどいなくなっている。もちろん、厚労省の担当者となるとほぼ2年ごとに変わるので、引き継ぎは行われていても生の議論は伝わらない。
(2)は、患者からの申し出を起点とした指定難病等の検討についてである。
指定難病の要件として、①発病の機構が明らかでない、②治療方法が確立していない、③長期の療養を必要とする、④患者数が人口の0.1%程度に達しない、⑤客観的な診断基準等が確立している、の5要件を満たすものとなっている。そのため研究班が存在しないような疾病では指定難病に取り上げられることが少ないため、患者からの申し出を起点にした指定難病の認定への方法が議論された。患者の訴え(症状である場合が多い)は多岐にわたっており、かかりつけの医師が学会や研究班にその申し出をつなげるシステム化が必要ではないかと結論づけられた。
 16時15分からは、社会保障審議会児童部会との合同開催となり、「移行期医療における連携のためのガイド作成について」が議論された。近年の小児医療の進歩により、多くの命が救われるようになった結果、原疾患自体が治癒せずとも持続したり、合併症が長期に継続すると、思春期、さらに成人期を迎える患者が多くなっている。小児科から内科などの成人医療へのスムースな移行をどう図っていくかが議論された。成育医療センターが中心になっている研究班の結果が報告された。南九州病院でも神経新患で、小児科の先生から神経内科の先生への移行の問題では、うまくいかなかったことを思い出していた。
結局、この問題でも切り札はなくて、今流行の言葉で表現するなら患者ファーストで考えていくこと、トタンスファー(移動)ではなく、トラディション(移行)であることを理解しておくことが重要であると結論付けられた。