Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

健診模様(19)体質(2017/08/24) 

人には先祖伝来の「体質」というものがあり、体重も血液検査の数値なども、その辺りを勘案して評価することも大切だと思った。
   58歳の女性、161センチで38キロと書かれているが、自覚症状にも既往歴にもチェックは入っていない。診察室に入ってきた女性、確かに痩せてはいるが健康そうにお見受けする。一般的な内科診察の後で、「痩せてはいますが、特に病気はないようですね」と話しかけると、わが意を得たとばかり「先生、そうなんです。私の体重はここ10年ほど全然変わっていません。痩せの大食いと言いますか、食欲もあってよく食べるんですが、太れない体質だと思っています。父が痩せていましたから」。「そりゃ、幸せですよ。今の時代はみんな必死で、どうしたら痩せられるかと頑張っている人が多いのですから」と返すと「それがそうでもないのですよ。健診結果にはいつも『バランスのいい食事をとって、もう少し体重増加を図ってください。精密検査も考えてください』などという文言が並ぶので、不愉快なんです」と話される。「確かにそうでしょうが、体重減少ががんの早期発見などにつながることもあるわけですので、要精密検査と書かざるを得ないわけです」と話すことだった。
   この女性とはその日の昼食で一緒になり(病院レストラン『空』で)、「きっと俗にいうところの神経質で、小さなことが気になる性質なんでしょう。だから太れないのでしょうね」と言うと、「先生、よくわかりますね」と相槌を打たれていた。
   41歳の男性、174センチで54キロと痩せ型である。胸部写真や心電図、超音波検査などでは異常はなく、ただ血液検査でビリルビン値が基準値より少し高値で、白血数が2500と基準値より少ない。ただこの二つの数値は過去数年間の検査でも、同じような値となっている。一応の説明が済んだのち、この男性は今までの健診の検査成績を持って来られていて、「いつも要精密検査と言われてきました。白血数は父も低くて、家系的なものと思っています」と言われる。「私もそのように解釈しますが、コンピューターはその辺りのことはわかりませんので、基準値を外れるとHやLという文字が印字されるんですね」。
   「そこが私には死活問題になるんです。住宅ローンの借り入れの時に団体信用生命保険(借り入れている人が万が一死亡した時に ローンが弁済されるもの)に入ることができないのです。どうにかならないものでしょうか」と言われる。「確かに言われることはよく理解できます。担当の方とも相談してみます」で終わった。
   冒頭にも書いたように、体重などはその人にふさわしい体重というものがあり、単純にBMIで評価できるものではないような気がする。また白血数やビリルビン値、悪玉コレステロール値など体質的な要素が多いように感じている。