Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

西之表保健所医療相談(前)(2017/08/03) 

毎年、県難病相談・支援センターの業務の一つとして、離島での医療相談を実施してきたが、今回は西之表保健所の主催による医療相談である。
         7月21日、病院から「歩いて鹿児島港へ」と考えたが、天気は曇り空に変わったがちょっと歩くと汗ばむようなので、新村さんに病院の車で港まで送ってもらうことにした。
         高速船トッピーは10時20分過ぎに鹿児島港を出港した。ほぼ満席である。波は静かでほとんど揺れなかったが、どういう訳かもやっていて対岸はよく見渡せなかった。今回は保健所が主催になっているのでセンターからの同行者はおらずに、西之表港までは私一人である。西之表港に11時55分に着くと、堀之口さんが迎えに来てくれていた。堀之口さんとは初対面だったが、真っ赤に紅潮した顔に汗をかきながら、真面目で一生懸命だということがよく伝わる若手の保健師だった。保健所への出張では、お昼はワンコインの弁当にすることが多いが、今回は堀之口さんの案内で、西之表市内の洒落れたお店でちらし寿司を食べることができた。
         ところでセンターで仕事をするようになってから、種子島には何度も訪れている。この島にはALS患者さんがたくさん療養している(多い時には、人口3万の島で8人を数えたが、現在は4人だという)こともあって、今まではALSの医療相談が多かった。今回はパーキンソン病に関するもので、交流会も企画されている。堀之口さんの説明では、種子島には指定難病患者が250人で、そのうちパーキンソン病は57人だという。
         会場の市民会館は西之表市を見渡せる高台にあり、港や海がよく見える。パソコンにプロジェクターの接続などしていると、13時過ぎには既に患者が集まってきた。出席者は患者本人が8人で、その家族や介護支援専門員、リハビリ担当者、看護師など40人を少し超えていた。このような相談会にこんなに多くの人が参加するのは西之表では珍しいそうである。
         14時から一時間ほど、私がパーキンソン病に関する講演を行った。講演の内容は、まず、一人一人の患者に、年齢、罹病期間、症状、現在の治療などを聞いて、その要点を白板に書きだした。最近の医療相談ではこのような手法をとることが多いが、親近感も生まれるし、また大まかな病像を出席者全員で自然に共有できるように思う。今回も、出席された患者一人一人に聞いたが、男女ほぼ半々で、年齢は60歳代から80歳代、経過は2年から15年とばらついている。初発症状は手足の振戦や寡動、歩行障害などとまとめることができる。
         その後、講演の方は健全な死生観を持つこと、新しい難病法の目指すところ、パーキンソン病について(主に治療法や合併症に対するケアについて)、病む人へのメッセージという順序で話をした。
         死生観に関しては、先日の「北部ブロック多職種連携会議」の講演でも取り上げたが、私自身もやっとこの歳になって自然に語りかけることができるようになった。若いうちは「他人事」であり、いくら言葉を並べてもしっくりこなかった。また超高齢社会の到来という時代が後押ししている。無意味なとは言わないが、無理な延命処置は考える時になったのではないだろうかということである。