Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

すいもあまいも(2017/08/01) 

今回の「お題」は「キレる高齢者」というもので、回答にも書いたように私の相応しいお題かとも思う。人間、先がわかってくるとつい気短くなってしまう。でもやはりどこかで折り合いをつけていかなければならない。
         問 キレる高齢者 近ごろ多い? 
         最近、すぐキレるお年寄りによく遭遇します。先日はある店で70歳ぐらいの男性が椅子に座り、女性店員相手に大声で怒鳴っていました。店の責任者が取りなそうとすると「上からものを言うな」とひざまずくように要求し、その後も私が買い物を終える10分間、怒鳴りっぱなし。企業のお客さまセンターに勤める知人からも、怒鳴って電話をしてくるのは高齢者の方が多いと聞きます。人はよわいを重ねると丸くなると思っていましたが、違うのでしょうか。(40代女性)
         回答 「明日はわが身」心のゆとりを
 私は今月、古希となりました。「キレるお年寄りの気持ちが少しはわかる」と評価されたかな。
         歳を重ねると「丸くなる」と思いがちですが、自らも含めて現実は厳しいです。加齢によって、脳を含む心身の機能の低下という問題に直面します。
         特に衝動の抑制や理性、意欲などをつかさどる大脳の「前頭葉」という部分は早期に萎縮するため、感情を抑制できなくなります。難聴なども加わって理解力が低下し、イライラしやすくなります。持って生まれた性格が、表面にさらけ出されてしまうのです。
         とはいえ、医学的説明だけでは、悲しくなります。人間の知恵の働く余地があるはずです。
         まずはお年寄りへのアドバイスから。普段から脳を鍛えましょう。歩くことは有効です(最低7000歩)、他には禁煙と節酒です。外に出て人と接する機会も増えれば、孤立感も解消されます。
         周囲にいる人も困りますよね。「立ち去る」「距離を置く」「無視する」手もありますが、お年寄りがいらついても反論せずに、「そうだね」「わかるよ」と、聞いてあげてください。敬意がこもっていたら、なおさらうまく運びます。怒りそうになったら、話題を変えるなど、工夫が必要です。
         誰一人として年をとらない人はいません。加速する高齢社会、「明日はわが身」なのだと思う心のゆとりを。