Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

リーダーシップ養成宿泊研修(中)(2017/09/12) 

最後に「13秒間のパイロットの壮絶なる物語」について話されたが、印象に残る深いいい話である。
 要約すると1999年、入間基地所属の2人のベテランパイロットが、機体トラブルで緊急着陸を余儀なくされた。緊急脱出時、高度360メートルがパラシュートの開く限界の高さである。この高さで「緊急脱出」の発信があり、脱出すれば助かったのに、このパイロットはそれをすることなく殉死した。そこは市街地上空だったからである。脱出をあきらめ河川敷に激突するまでの13秒間、どのような思いだったのだろうか。幸い、一般市民が巻き添えにすることは避けられた。
 この間の13秒間、江藤さんの話では助かる可能性もない高さ(70メートル)で脱出したのは、もし脱出しなければ脱出装置の装備不良として、整備員に要らぬ心配をかけないようにと配慮があったからだという。当時の新聞は「自衛隊機また事故」「税金の無駄」「未熟なパイロット」などと書きたてたが、その後の事故調査委員会の調査報告では、漏れた燃料に引火したことが原因での事故で、操作ミスでないことが結論付けられた。わずか13秒間の間にパイロットの心に、どのような考えが去来したかは想像の世界である。彼らの覚悟の死は一般市民を巻き込みたくないという使命感と、同僚に対する配慮が根底にあってのことだと推察できる。
 10時50分頃からオリエンテーションとアイスブレーキングになったが、ファシリテーターの斉藤さんの自己紹介も面白かった。9人兄弟の3番目ということである。
 12時から小森園先生による「次期リーダーに求めること」と題する講演では、2025年に向けての時代背景を解きほぐしながら、当院の立ち位置と進むべき方向も示唆してくれた。
 団塊の世代が後期高齢者となる2025年まで残すところ5年余りになるが、日本の正念場でもあり、国の医療政策も大きく変わってくる。この間、南風病院は本館の建て替えなどもスケジュールも俎上に挙がってくるし、経営的にも困難な事態が予測できる。それでも長年の南風サポーターやタフで若い人材が輩出しているので、うまく乗り越えられるのではないだろうかと希望的観測を語ってくれた。
 また自らが大学時代にラグビー部のキャプテンをしていたことの経験から、リーダーシップについて話された。現在の世界の指導者も、また過去の歴史に名をとどめたリーダーも全て個性派揃いで、いわゆる常識的な指導者は少ない(逆に非常識な指導力ほど戦時には指導力を発揮するのかも知れない)。
 今回の研修は6人ほどの小グループに分かれての研修が多いので、ちょうどラグビーのメンバー構成にも似ている。組織ではその立ち位置によってリーダーシップとしての役割は異なるわけだが、ラグビーでもフォワードとバックスでは任務が全然違ってくる。結論から言えば、変化に対応した適切な専門型協調が重要となる。