Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

人の命の儚さ(後)(2017/09/08) 

それからしばらく経ってのこと、下記のようなメールをもらって驚いた。
 いつも大変お世話になりましてありがとうございます。7月10日、古希のお祝い、おめでとうございます。とてもお幸せな、人吉旅行が眼に浮かぶようです。
 私の7月は、最低最悪の月でした。
 みぞおちのあたりに、違和感を感じ、会社の近くの病院(夕方で時間がなかったため。ゴメンナサイ)に、駆け込みました。以下の状況です。
 7/19(水) 17:00頃、診察(エコー)後に即入院しなさいとのこと。無理でしたので、7/21に入院する旨伝えました。7/20(木)、通常業務(旅行のお仕事)、7/21(金)、午前中に入院し特に検査なし(体温・血圧・酸素などはあり)。7/22(土)、入院したが特に検査なし。7/23(日)特に検査なし、7/24(月)、胃カメラ・腹部CT。7/25(火)に大腸検査。7/26(水)の夕方、検査内容説明。下部食道癌、レベル4.5。一部転移あり、余命半年とのこと。7/27(木)、薬による延命しかないとのことで退院する。(それ以降外来で対応とのこと)。
 南風病院で最終確認をしたいのですが、1)通常外来、2)セカンドオピニオン、3)ガン専門初診外来、どの方向から、伺いすればよろしいのでしょうか?お忙しところ申し訳ございません。院長先生にお伺いするようなことではないのは理解しておりますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
 想像すらできない事態で、「とりあえず私の部屋に来てもらって考えようか」ということになり、数日後私の部屋に現れた。いつものにこやかな表情で、取り乱すようなことは一切なかった。死を淡々と受け止めているふうに思えた。
 「先生の朝のメールをずっと読ませてもらっていたので、死への心構えもできたように思います。その意味でも感謝しております。筋ジスの患者さんのことを考えると、63歳まで生きれたんですから、特に思い残すこともありません。一番下の娘がまだ結婚していないので、ちょっと気がかりですが。仕事の関係で、海外の多くの観光地も廻ることもできました。(来年に向けて、自分で請け負っているいくつかのツアーの計画も話してくれた)。「散る桜 残る桜も 散る桜ですからね」と言われる。散髪屋さんも一緒の店だったので「昨日散髪に行ったら、津曲さんもみえられたということでしたよ」と言うと、「さっぱりしておこうと思いましてね。まだ食事も口からとることができますよ。日曜日には谷山のうなぎ屋さんで、かば焼きも食べられました(と、言いながら、その店の地図など書いてくれる)。実はこの2月に納骨堂を買ったのですが、やはり虫の知らせだったのですかね。冷水町にある『城山やすらぎ霊園』という所です」と聞いて、「私の御先祖さんも同じ霊園ですよ」と話すことだった。「一緒に参拝できるかも・・・」と思いながら、こんなに早くその日が来るとは。「きっと私の新聞の死亡広告を見て、びっくりする人も多いでしょうね」と最後に言われたが、まさにその通りになった。
 この話の後、食道がんが専門の島岡先生に紹介することになり、早速お願いした。診察を受けた後、島岡先生に訊ねると、診断や予後に対する見通しも一緒で「食道がんで、こんな進行に早い例は私も2例目です」と言われた。毎年、市の健診は受けていたらしいが、間接の胃透視では、食道の病変はわからないこともあるということだった。津曲さんからも「丁寧に説明していただいて納得がいきました。全て任せるつもりです」との電話連絡をもらった。
 入院後、2回ほど見舞いに行き、9月中旬に予定している出張のチケットの話などした。下旬の分は無理だろうと、断ることにした。
 6日の夜、通夜が西陵の葬儀場で執り行われたので参列した。ご冥福を心からお祈りしたい。