Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

元気なうちに死生観話し合って(2017/11/13) 

(質問)せめて105歳まで生きるには?
 7月に105歳で亡くなった聖路加国際病院の名誉院長、日野原重明さんのように、長生きしたいと思っています。せめて105歳を目指したいのですが、どうしたらいいのでしょうか。運動、食事、睡眠が重要だと考え、ほぼ毎日、5㌔自転車をこぎ、時々、徒歩5㌔や30分ほどのストレッチをしています。そして、食事と睡眠にも気をつけています。しかし、このような生活の仕方で、果たして105歳まで命が持つかどうかが疑問です。(80代男性)
 (答)元気なうちに死生観話し合って
 健康長寿はみんなの願いですが、基本は適切な運動と食事、睡眠といわれます。質問者は模範的な生活といえます。105歳まで生きられるかは結果なので誰にもわかりませんが、80代でこのような生活を続けるとは驚異的で感服します。
 口の悪い先輩の言葉が頭に残っています。「ジムに通って体を鍛えるのもいいけどねえ、高齢者施設で職員が最も困るのは足腰の元気な認知症のお年寄りなんだよ」と。この先輩の言葉を待つまでもなく、私たち団塊の世代の最大の課題は「認知症対策」ではないでしょうか。
 最近、英医学雑誌で「認知症の35%は予防できる」という論文が話題になりました。そこでは、九つのリスク要因を挙げます。①中年期(45~65歳)の聴力低下、②中等教育(12~14歳)の未修習、③中年の肥満、④高血圧、⑤65歳以上の高齢期での喫煙、⑥うつ、⑦活動量の低下、⑧社会的な孤立、⑨糖尿病。すべてを改善すれば認知症の3分の1を防ぐことができる、とします。
 私の母は95歳まで生きて、いわゆる天寿を全うしました。90歳を過ぎたころから認知症の症状がみられるようになり、自ら「小さな体でよくここまで生きてこれたもんだよ。ちょっと長生きし過ぎたかもな」と、しんみり話していました。
 明日のことは誰にもわかりません。命の長さも大事ですが、質はもっと重要です。元気な時にこそ、延命治療も含めて死生観などを家族で話し合うのも知恵かもしれません。