Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

Serendipity(後)(2017/12/20) 

そして2010年に高校野球で沖縄県勢としては初めて春夏連覇という偉業を達成させた興南高校の我喜屋優監督につての話になった。その優勝メンバーが数年後にたまたまテレビに出演して、当時の思い出を語る番組を観ての話である。
   メンバーが一人残らず印象に残っていることとして挙げたのが、早朝7時からの全員での散歩だったという。その後で、目に映ったことなどを毎日全員の前で、一分間スピーチをすることになっていた。最初のうちは人前で話すことが苦手の人も、次第に堂々と話せるようになっていく。また話の内容も、単純に何々があったというようなものから、少しずつ奥深いことに変化していったという。
   この一分間スピーチの目的は、甲子園でも緊張しないように、人前で話すということの準備を日ごろからすることにあった。その練習を積んだおかげで、甲子園ではカメラとマイクを前に堂々とスピーチできるまでになった。結局、プレッシャーは、その人の心ひとつで決まるものなのである。
   もう一つの成果は、試合中にピンチの芽を摘むことができた。毎日の散歩での観察から「相手のちょっとした動きを観察できるようになった」のだという。私もこの言葉は重要で、「看護のタペストリー」に通じることだと思った。毎日丹念に患者を観察していると、ちょっとした異変にも早く気づいて的確に対応できるということである。
   垣花教授も興南高校の生徒たちは毎朝の散歩から、知らず知らずのうちにSerendipityを会得したのだろうと考えた。
   私もここ数年、病院と自宅のマンションとの間はできる限り歩くことにしている。自動車だと何気なく過ぎ去ってしまうことが、歩いていると違った風景に見えるのである。また歩いているとさまざまな「妄想」も湧いてくる。朝は歩きながら、「今朝のランには何を書こうかな」などと考えることもある。