Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

老衰多いと医療費低い(前)(2018/01/29) 

人は誰しも、亡くなる間際まで健康な生活ができて、亡くなるときには長く伏せることもなくあの世に旅立てることを願っている。よく言われるピンピンコロリである。このことが実現されるためには健康長寿をいかにして達成できるかが重要な要素となる。
 また亡くなるときも、できたら病院のベッドではなくて、可能なら住み慣れた我が家で死ねたら本望だと思う。ところが医学の進歩や医療制度が変わって、高齢でもちょうっと病状が悪化すると病院に入院させることが一般的となった。その結果、亡くなるまでベッドの上で胃瘻に繋がれたりしての延命治療が多くなっていた。
 ところが最近、「本当の幸せは、単に延命するだけではないのではないだろうか」という考え方が高齢者の間にも広まってきて、老衰(自然死)を望む人が増えてきている。
 日経新聞朝刊一面(2017年12月25日)に興味深い記事が載っていた。
 「老衰多いと医療費低く」という大見出しで、「男性最多の茅ヶ崎市 全国より14万円」と続く。
 要約の記事として「老衰と診断されて亡くなった人が多いほど高齢者一人当たりの医療費が低くなる傾向がある」というのである。「男性の老衰死が全国最多の神奈川県茅ケ崎市は年間医療費が全国平均より14万円安い。老衰死が多くても介護費に増加傾向はなかった。健康長寿で老衰死が増えれば、医療・介護費を抑えることができるとみられる」と書かれている。
 逆に老衰の死亡率の低い都市の6位にランクされている鹿児島市は、医療費は1,132,314円と全国平均よりかなり高い。