Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

「読売新聞を読んで」(2018/01/23) 

「成人の日」へと続く1月の3連休、キャンセルがあったのか6日からの一泊二日、娘と二人の孫と一緒に宿の予約ができた。このような連休にはなかなか予約することができなくなっている人気の旅館、霧島の旅行人山荘である。
 さてこの宿ではフロントに、「自由にお取りください」と重ねておいてあるのは読売新聞だけである。私は読売新聞を読むことは滅多にないのだが、1月7日の朝刊を読みながら、「高齢者問題と医療福祉に関する記事」が実に多いことに気づいた。
 この朝の新聞各紙は、膵臓がんで亡くなった星野仙一氏を特集しているが、読売新聞も一面とスポーツ面、社会面で大きく取り上げている。この他では、「阪大入試ミス 30人追加合格」が一面の大見出しである。
 本論に入ると、社説は「医療・介護の持続性確保せよ」という大見出しで、6段に及ぶ論説を展開している。大きなテーマとして、一つは「人生100年時代」を見据えた医療・介護体制改革、もう一つが高齢者中心の給付から現役世代も含めて支える「全世代型」への転換である。
 顔欄は「希少難病患者を追った映画を製作」ということで映画監督の稲塚秀孝さんを取り上げている。知人の長男が世界で140人、日本で6人しかいない希少難病である芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(Aromatic L-amino acid decarboxylase ;AADC)と判明した。寝たきりの状態だったが、AADCを作る遺伝子を組み込んだウイルスを脳に注入する遺伝子治療を受け、劇的に症状の改善をみた記録映画である。
 9面の「今年の動き」では安心の設計という視点で子育て支援を取り上げている。「展望2018」では社会保障部長の岡部 匡志さんが「自宅で最期」諦めないというタイトルで、家での看取りについて触れている。
 投書欄の「意見・視点」では田中健児さんという人が「健康寿命を楽しく延ばす」フレイル対策について意見を述べている。
 文化欄の「よみうり堂」では、瀬戸内寂聴さんの秘書というか、マネジメントから介護も担当している瀬尾まなほさんが「おちゃめに100歳」という随筆を出版したことに触れている。
 「わたし、もう既に寿命縮んでいるんですけど、先生のせいで」「ははは。あなたが寿命縮んで、私が延びる~」 漫才の掛け合いのように進む寂聴さんとの会話は、本書の翁魅力だ。
 くらし欄では、「病院食ががん治療の支え」という見出しで、全国の主な医療機関のがん病院食実績を紹介しているが、鹿児島県では南九州病院だけが掲載されている。
 「元気なら」のコーナーでは、「高齢者は耳垢に注意」というタイトルで詳しく説明している。もう一方の「くらし」欄では「高齢者のゴミ出し支援」について触れている。