Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

治療と職業生活の両立(前)(2018/01/16) 

年も押し迫った12月20日、「治療と職業生活の両立の支援対策事業の第一回難病作業部会」が東京で開催されることになり、12時35分発のANA機(使用機遅れで20分遅れの55分に出発)で東京に向かった。政府の「働き方改革」の一環と思われるが、旧知の厚生労働省労働衛生課の鈴木先生に頼まれていた案件である。がん、脳卒中、肝疾患では既に留意事項がまとめられガイドラインも出されているが、難病では今回が初めてのようである。
 開催場所が「みずほ情報総研株式会社(安田シーケンスタワー8階)」で17時からだということで、一旦荷物を赤坂東急ホテルに置いて出かけることにした。会場が最寄りの地下鉄の駅から程よく離れているようで、永田町駅から半蔵門線に乗って神保町駅から歩くことにした。神保町駅では外に出るまでに相当な距離があり、駅の構内で万歩計の歩数を随分稼ぐことができた。地図を頼りに、学士会館前を通って約10分に会場に着く。作業部会は17時丁度に始まり、事務局の説明の後、座長に選ばれた春名先生から今回の作業部会の位置づけが説明された。
 1.留意事項の作成に当たって
 ○ 難病という言葉の印象から、治療と仕事の両立が難しいのではないかと誤解を招きやすくなっている可能性がある。難病といっても慢性疾患の側面もあり、事業場での配慮があれば治療と仕事の両立が可能であることをイメージしやすい表現に変更するなど、留意事項の名称についても検討する。(「難病その他慢性疾患に関する留意事項」など。)
 2.対象とする疾患の範囲・構成
 ○ 難病には多数の疾患があるが、就労世代に多い疾患はある程度整理可能である。全体的な事項と疾病別の事項に分けて記述し、後者については就業年齢層で罹患者数が多い個別の病気(潰瘍性大腸炎や全身性エリテマトーデス、クローン病など)について重点的に解説する。
 ○ 体調が安定しないことが多くの難病に共通する特徴だが、身体的な問題は個別性が高い。そのため、留意事項では疾病共通の代表例を示しつつ、さらに詳しいことは「○○センターにご相談ください」等の記載を検討する。
 その後、出席した各委員から10分程度のプレゼンが行われ、部会は19時過ぎに終わった。委員の一人、江口先生は現在北里大学医学部の公衆衛生学講師であるが、さつま川内市の出身でれいめい高校から産業医科大学に進学されたということだった。また厚労省労働基準局安全衛生部主査の堤先生は、来年4月から聖マリ大学の大学院に入学する(3内科の後輩の山野先生が教授)ということ、いろいろなつながりがあるものである。
 ところで神経難病と就労について考える時、神経疾患の特徴や多様性が問題になる。大まかに分けると、ALSや筋ジストロフィーのように常に進行性で効果的な薬剤のない重度の疾患、パーキンソン病のように緩徐進行性であるが、治療薬もある疾患、重症筋無力症や多発性硬化症、多発性筋炎のように治療薬もあり、寛解期も期待できる疾患に分けることも可能である。もちろん、人それぞれで、一概には言えないことも多いのだが。