Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

Rare Disease Day(後)(2018/02/28) 

ポンペ病は酸性マルターゼ欠損症とも呼ばれ、ライソゾーム酵素であるαグルコシダーゼ(αGAA)の欠損または活性低下を原因とする遺伝性疾患である。糖原病II型に分類され、糖原病の中では唯一のライソゾーム蓄積疾患であり、多くの組織のライソゾーム、特に筋(骨格筋、心筋、平滑筋)にグリコーゲンが蓄積するため筋型糖原病の代表的疾患の一つとされている。常染色体劣性遺伝形式で、染色体上の座位は 17q25.2-q25.3である。
 最後に、SMA(脊髄性筋萎縮症)を紹介することにした。個人的にはもっとも衝撃的な薬で、筋萎縮や筋力低下が多少でも改善するということにびっくりした。SMAは、国内での推定有病率が10万人当たり0.5~1.0人と報告されており、小児慢性特定疾病に認定されている。発症年齢などによってI~IV型に分類され、筋緊張低下や筋力低下、筋萎縮が一般的な臨床症状。ほぼ全てのSMA症例は、染色体5q領域でのSurvival Motor Neuron 1(SMN1)遺伝子の欠失または突然変異によるSMNタンパク質の欠乏およびそれに付随する脊髄全角での運動ニューロンの変性に起因する。
 一方、SMN1遺伝子の近傍に位置し、少量のSMNタンパク質産生を担うSMN2遺伝子がある。SMN2遺伝子は、SMN1遺伝子と相同で、SMN2遺伝子のコピー数が、SMAの臨床表現型の最も重要な予測因子として知られている。発症時期が早く、SMNタンパク質の算出が少ないほど疾患は重度である。
 スピンラザはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であり、5番染色体長腕(5q)内のSMN1遺伝子の欠失又は変異による SMNタンパク質欠乏により引き起こされるSMAの治療薬として設計された。本剤は変異したSMN1の重複遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えるようデザインされている。その目的は完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やすことにある。ASOは標的RNAと結合して遺伝子発現を調節するようデザインされた短鎖の合成ヌクレオチドである。
 薬価はビックリするほど高価で、「スピンラザ® 髄注2mg」1バイアルあたり9,320,424円となり、負荷投与終了後の通常投与(4カ月毎に髄注。年3回投与)でも年間の薬剤費は27,961,272円となる。
 講演終了後、みんなで語ろう~これからの鹿児島~ということで、40分ほどの座談会となった。翌朝、発起人の里中さんから次のようなメールを頂いた。単独患者会からの相談が多く、でも手を差し伸べる余力はない。でも会を立ち上げることもできなかったり、何をどうして良いのかわからない患者・家族にできることがあるのではないか?と重症神経難病の大人の会と子どもの会を立ち上げました。当然できることは限られていると思いますが・・・」
 小さな努力の結集が大きな実を結ぶこともある。まず始めることかと思う。