Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

北国紀行(1)(2018/02/01) 

今回も、不思議な偶然の「符合」なのである。芥川賞・直木賞の選考会の翌日(18日)、宮沢賢治記念館を訪ねる計画を立てていたが、今回の受賞作品はいずれも宮沢賢治関連だった。
 また北国の冬の定番は「寒さ」と「雪」と言ってよい。日経のNIKKEIプラス1(1月13日)は「静けさ味わう雪の寺社」であり、ANA機内誌一月号「翼の王国」の特集は「冬の日本 雪三景」である。ところが今回の東北旅行では「寒さ」は味わえず、「雪」もわずかであった。これをラッキーと言っていいのか、アンラッキーなのか複雑な気分である。でもやはり「ないものねだり」で、私が帰ってすぐ襲来した過去最強の寒気団を考えれば、温かかったのはラッキーだったと言うべきだろう。
 1月17日の夕方、厚労省で第一回疾病対策部会が、そして一日挟んで19日に厚労省委託「治療と職業生活の両立の支援対策事業」作業部会が予定されていた。当初は東京と鹿児島の二往復を考えたが、スプリットの18日を利用して新潟か東北の雪国に「小旅行」をしてみようと思いたった。年末に開催された日本病院会の医療安全対策委員会の時、委員の嶋森好子先生に「盛岡に行ってみようかな」と何気なく話したら、「是非いらっしゃいよ」と有難い言葉を掛けてもらった。先生は昨年4月から、岩手医科大学の120周年記念事業として開設された看護学部の学部長として活躍されている。
 当日が近づくにつれ、病院では「やんごとなき」気になる案件がいくつも起こったが、私がいてもすぐにどうなるものでもないと腹を決めて、最初の計画を実行させてもらうことにした。ここ数年、夏休みや年休など利用したことはあまりなかった。このような習性は南九州病院時代も同じようで、「自分で好きでやっている」事なので、特別不満に思ったことはなかった。昨今の「働き方改革」の流れからすれば、時代に逆行する(役所言葉では)遺憾なことかも知れない。ただ職員には、それぞれの考え方で工夫しながら休みをとって生活も楽しんでほしいと思っている。もうずいぶん古い話になるが、私が留学していた当時、ボスのエンゲル先生は休みを取ることなどなく、ひたすら研究三昧の生活パターンだった。「アメリカ人は週末やバカンスを楽しむものだ」と思っていたが、「みんながそうではない」と知って驚いたものである。人の考え方もそれぞれである。
 17日は17時からの会議であるが、16時に厚労省の難病対策課で課長補佐の田中先生と約束していた。部会長(司会)を仰せつかっているので、事前の打ち合わせである。疾病対策部会は、指定難病選定委員会から挙げられていた6つの指定難病を追加することなどの議事を承認して、特段の大きな争点もなかったので予定した時間より少し早めに終わった。雨も降っていたのでそのままホテルに戻り、隣接のセブンイレブンで簡単な食材を買って夕食にした。
 1月18日の朝、出発時に赤坂東急ホテルのフロントに並べられていたいくつかの朝刊の中から「朝日新聞」を選択して鞄の中に押し込んだ。小さい頃は家で朝日を定期購読していたので毎朝読んでいたが、最近は読むことが少なくなっていた。それでも朝日には旧知の記者も多いし、安部内閣を支持している識者からは露骨な批判を受けていることもあって「判官贔屓」から読んでみようと思ったのである。