南日本新聞シニアなるほどゼミナール(3)(2018/05/28)
途中で扉の隙間風の音が聞こえてきた。私も少しうるさく感じたところだったが、すかさず「この音、何ですかねえ。世の中、思いがけないことがよくあるもので・・・先日の高座の時なんですが、聴きに来ている人には録音はしないように係の人が注意していたのに・・・前に座っていたオジサンが鞄の中をごそごそいじっていたら、『今から録音を始めます』という電子音声がしたこともありましてねえ・・・」。
また北海道の帯広によばれていった時のことです。高座まで時間がありましたので牧場の見学に行ったのです。ちょうど乳搾りの時間で、その絞り方を見学していたんです。時計を忘れていたので何時ごろかわからなくなって、乳を絞っている人に聞いたのですね。すると牛の大きな乳を上にあげながら2時ですよ、と言ったのです。さすがにプロは乳の張り具合で時間までわかるんだと感心しました。そのままもうしばらくしてから、今何時ですかと聞きましたら、今度は2時20分です、と、やはり乳を上にあげながら答えるんですよ。ますます感心してしまった次第です。・・・後でわかったことですが、乳を上にあげて、向うの方にある時計台を見ていたんですね・・・」。この話が一番受けていたが「これは実は作り話でした」と言ってまた笑いである。
最後に、古典落語の一つ、「チリトテチン」を話された。ずいぶん前のNHK朝のテレビ小説のタイトルである。えせ紳士(よかぶいごろ)を茶化す話であるが、いかつい顔で表情豊かに泣き笑いを演じる所作はさすがである。そばを食べたりお茶を飲む仕草など、実にリアルに表現できる。
さて私の講演は2時45分に始まり、3時半までの45分が予定されていたが、事前に担当者に「10分ほど延びても構いませんか」と訊ねたら「後が何もないのでいいですよ」と言われていた。結果的には3時45分前まで、ちょうど一時間使ってしまったことになる。会場にはかねて知り合いの方も多く出席してくれていた。柴田病院の事務長をされていた浜田さんには入口の所でお会いしたので、「義母さんが生きておられたら、きっとたくさんの友だちを連れて来てくれたでしょうね」と懐かしむことだった。筋ジス病棟で一緒だった岩崎さんも車椅子で来てくれていた。
講演のテーマは「健やかな老い 穏やかに逝く」である。「すいもあまいも」担当の南日本新聞の渡辺記者にいくつかの案を提示して、その中からまとめてくれたのがこのタイトルである。私の思いとも一致しているし、この二つこそが多くの高齢者の望むところではないだろうか。
講演では最初の5分間が大切で、講演の全体を左右する。出だしが悪いと、何となくしっくりこなくて引きずってしまい、終わった時にも達成感を感じられない。そこで今回の講演では、まずイチローをバッターボックスに立たせて、本塁ベース上に四角い枠を囲ったスライドを提示し、「皆さんがイチローで、私がうまくストライクゾーンにボールを投げられるかで、満足いただける講演になるかどうかが決まってしまう。講演がうまくいくかどうかはお互いの共同作業なんですね、よろしくお願いいたします」というような調子で始めた
また北海道の帯広によばれていった時のことです。高座まで時間がありましたので牧場の見学に行ったのです。ちょうど乳搾りの時間で、その絞り方を見学していたんです。時計を忘れていたので何時ごろかわからなくなって、乳を絞っている人に聞いたのですね。すると牛の大きな乳を上にあげながら2時ですよ、と言ったのです。さすがにプロは乳の張り具合で時間までわかるんだと感心しました。そのままもうしばらくしてから、今何時ですかと聞きましたら、今度は2時20分です、と、やはり乳を上にあげながら答えるんですよ。ますます感心してしまった次第です。・・・後でわかったことですが、乳を上にあげて、向うの方にある時計台を見ていたんですね・・・」。この話が一番受けていたが「これは実は作り話でした」と言ってまた笑いである。
最後に、古典落語の一つ、「チリトテチン」を話された。ずいぶん前のNHK朝のテレビ小説のタイトルである。えせ紳士(よかぶいごろ)を茶化す話であるが、いかつい顔で表情豊かに泣き笑いを演じる所作はさすがである。そばを食べたりお茶を飲む仕草など、実にリアルに表現できる。
さて私の講演は2時45分に始まり、3時半までの45分が予定されていたが、事前に担当者に「10分ほど延びても構いませんか」と訊ねたら「後が何もないのでいいですよ」と言われていた。結果的には3時45分前まで、ちょうど一時間使ってしまったことになる。会場にはかねて知り合いの方も多く出席してくれていた。柴田病院の事務長をされていた浜田さんには入口の所でお会いしたので、「義母さんが生きておられたら、きっとたくさんの友だちを連れて来てくれたでしょうね」と懐かしむことだった。筋ジス病棟で一緒だった岩崎さんも車椅子で来てくれていた。
講演のテーマは「健やかな老い 穏やかに逝く」である。「すいもあまいも」担当の南日本新聞の渡辺記者にいくつかの案を提示して、その中からまとめてくれたのがこのタイトルである。私の思いとも一致しているし、この二つこそが多くの高齢者の望むところではないだろうか。
講演では最初の5分間が大切で、講演の全体を左右する。出だしが悪いと、何となくしっくりこなくて引きずってしまい、終わった時にも達成感を感じられない。そこで今回の講演では、まずイチローをバッターボックスに立たせて、本塁ベース上に四角い枠を囲ったスライドを提示し、「皆さんがイチローで、私がうまくストライクゾーンにボールを投げられるかで、満足いただける講演になるかどうかが決まってしまう。講演がうまくいくかどうかはお互いの共同作業なんですね、よろしくお願いいたします」というような調子で始めた
