成人力(前)(2018/05/17)
「成人力」とは「知識ではなく、課題を見つけ考える力や問題解決能力など、生きていく総合的な力」と定義されている。
人間としての成熟度に関係する事柄のように思われるが、この混迷する時代、もっとも必要とされる能力ではないかと思うことである。
私がアメリカに留学していたときの指導者のエンゲル先生は「Problem orientated」という言葉をよく使われた。研究でもなんでも、何か新しいことを試みようとすると、様々な困難な問題に直面する。そこでひるむことなく、問題の解決のために正面から立ち向かうことが重要であると言われていた。
また雑賀氏(元三井物産代表取締役)は「一言で言うと、人のせいにしないということではないだろうか」と、そして「つたなくても自分の経験や体験から、周囲を巻き込みながら、組織としての最適の答えを見つける事のできる人と思う」と語っている。
先日、「ある人と会食したのはいつだったか」を調べてみる必要に駆られて、ネットで検索したのである。20年ほど、毎朝書いてきた院内ランを、今も南九州病院のホームページにも保存してくれているので、簡単に検索できる。自分に記憶は薄れていくが、ネットに保存された記憶はいつでも取り出せるので、実に便利である。その目的は簡単に達せられたのだが、暇に任せてその前後のランを読み前してみると、この「成人力とは」について触れた項があった。加筆しながらもう一度整理してみた。
日経の特集では、「問われる成人力」というテーマのシンポジウムについて、その要約と討論、そして作家の浅田次郎さんの基調講演について触れていた。浅田さて主張はわかりやすく納得のいくものである。このようなテーマについてのシンポジウムが開催されること自体、現代人が知識は豊富でも、いざというときの「生きていく総合的な力」、すなわち成人力が欠如していることの裏返しかもしれない。
浅田さんは「壬生義士伝」など、江戸時代をテーマにした小説をいくつか書いているが、そこで気づいた現代との違いを次のように述べている。すなわち武士は15歳で元服し、40代で定年となり、その後は優雅な隠居生活が待っており、この時代に素晴らしい江戸文化を築いたのだという。現代と比較すると、20年以上も早く人生を歩んだことになり、否応が上にも、生きていく力を若い時代に習得したことになる。
同時に、現役をリタイアした武士たちは、全国各地の寺子屋の先生を務めたことが多かったようである。藤沢周平の著わした「三屋清左衛門残日録」では、前藩主の用心まで務めた主人公が隠居前には悠々自適な隠居生活を考えていたが、実際はそうではなくて寂寥とした感があるものだと描いている。そして「よろず相談所」的役割で、さまざまな難題を解決していく中で、自らの生きがいも獲得していく筋書きになっている。
人間としての成熟度に関係する事柄のように思われるが、この混迷する時代、もっとも必要とされる能力ではないかと思うことである。
私がアメリカに留学していたときの指導者のエンゲル先生は「Problem orientated」という言葉をよく使われた。研究でもなんでも、何か新しいことを試みようとすると、様々な困難な問題に直面する。そこでひるむことなく、問題の解決のために正面から立ち向かうことが重要であると言われていた。
また雑賀氏(元三井物産代表取締役)は「一言で言うと、人のせいにしないということではないだろうか」と、そして「つたなくても自分の経験や体験から、周囲を巻き込みながら、組織としての最適の答えを見つける事のできる人と思う」と語っている。
先日、「ある人と会食したのはいつだったか」を調べてみる必要に駆られて、ネットで検索したのである。20年ほど、毎朝書いてきた院内ランを、今も南九州病院のホームページにも保存してくれているので、簡単に検索できる。自分に記憶は薄れていくが、ネットに保存された記憶はいつでも取り出せるので、実に便利である。その目的は簡単に達せられたのだが、暇に任せてその前後のランを読み前してみると、この「成人力とは」について触れた項があった。加筆しながらもう一度整理してみた。
日経の特集では、「問われる成人力」というテーマのシンポジウムについて、その要約と討論、そして作家の浅田次郎さんの基調講演について触れていた。浅田さて主張はわかりやすく納得のいくものである。このようなテーマについてのシンポジウムが開催されること自体、現代人が知識は豊富でも、いざというときの「生きていく総合的な力」、すなわち成人力が欠如していることの裏返しかもしれない。
浅田さんは「壬生義士伝」など、江戸時代をテーマにした小説をいくつか書いているが、そこで気づいた現代との違いを次のように述べている。すなわち武士は15歳で元服し、40代で定年となり、その後は優雅な隠居生活が待っており、この時代に素晴らしい江戸文化を築いたのだという。現代と比較すると、20年以上も早く人生を歩んだことになり、否応が上にも、生きていく力を若い時代に習得したことになる。
同時に、現役をリタイアした武士たちは、全国各地の寺子屋の先生を務めたことが多かったようである。藤沢周平の著わした「三屋清左衛門残日録」では、前藩主の用心まで務めた主人公が隠居前には悠々自適な隠居生活を考えていたが、実際はそうではなくて寂寥とした感があるものだと描いている。そして「よろず相談所」的役割で、さまざまな難題を解決していく中で、自らの生きがいも獲得していく筋書きになっている。
