Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

ALS協会支部総会(2)(2018/06/13) 

この法人の目的は定款の第2章第3条に次のように記されている。
 ALS等難病療養者や障がい者やその家族に対してさまざまな情報を伝えるともに、患者や家族が心身ともに健康で元気に病気に立ち向かい、又は介護に向かえるように障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に基づく指定障害福祉サービス事業やたん吸引等に関する県登録研修関連事業、コミュニケーション支援事業、ALS等難病患者や重度障害者のQOL向上事業を行うことにより、福祉の向上に寄与することを目的とする。
 具体的には鹿児島県は離島が多く、介護保険料を払っているのに介護事業所がないために介護の恩恵を受けられない地域が多い。そこでこのNPO法人でそこの地域に住んでいる希望する一般人に介護研修を行い、それぞれの地域でALS等の重度の患者の終日支援をしてもらうことを目指そうというものである。上手くいけば、患者は地域で療養ができて、そこで暮らしている介護者も収入を得ることができる。困難な事業であることは承知の上だが、志と熱意と必要性があったら、やって行けるのではないかと期待している。
 午後は13時から、ALS協会鹿児島県支部を支援している鹿児島大学医学部保健学科の学生サークル、アッシュのメンバーの司会で、黙祷、開会のあいさつの後、記念講演となった。私も振られて、次のような挨拶を行った。
 今日は山口に住んでいる孫の隼生君の2歳の誕生日のお祝い会を、福岡市ですることにしています。ちょうど2年前のこの総会の途中、生まれたばかりの隼生君が黒崎の九州病院に搬送されたとの電話で、新幹線とJRを乗り継いで病院に駆けつけました。先生方の適切な治療で、今では元気いっぱいです。そんなわけで、6月の第一日曜日が定例となっている支部総会とは毎年バッテイングすることになるので、誕生会には行かなくなるようです・・・。
 特別講演の講師は、伊藤史人先生(島根大学総合理工学研究科助教)で「コミュニケーション支援機器でひろがる日常生活」というものだった。要点は、パソコンの入力を視線で行うことにより、いかに生活が変わったかを分りやすく紹介してくれた。「目から鱗が落ちる」という諺があるが、先生の講演を聞いて、まさにそのような感慨にとらわれた。 
 従来の「伝の心」などでは、一文字打つためにカーソルを何度も動かして初めて入力することができる。お年寄りや筋力の衰えた難病患者では途中で挫折してしまう人が多かった。ところが視線入力だと、視線で文字を見つめるだけで文字を拾っていくことができるので、そのスピードは指の入力と同じである。
 この視線入力を使って生活を一変させている滋賀県の田中あかりさん(脊髄性筋萎縮症)と電話回線を使って、活動の実際を見せてもらうことができた。あかりさんは寝たきりで人工呼吸器を装着した重度の障害者であるが、部屋の中も本人の様子も全くそのような感じはしない。実に生き生きと生活されている。先生はキーワードとして「人間はテクノロジジーで進化する」「成功体験から導くコミュニケーション支援」を挙げていたが、まさにその通りだと思った。