Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

札幌での神経学会総会(4)(2018/06/08) 

会場はロイトン札幌、さっぽろ芸術文化の館、札幌市教育文化会館の3ヶ所に分散されているが、お互い道を挟んで隣同士なので不便には感じない。最近学会が大規模化し、出席者も増えてくると地方都市での開催は難しくなってきている。だからといって、東京、名古屋、大阪、福岡だけとなると味気ない。
 さてこの日は、パーキンソン病関連疾患の口演やシンポジウム、ランチョンセミナー、総会などに出席して、帰るときも北大植物園の外周を歩きながら園内をのぞくと、カエデやハルニレの大木がうっそうと繁っており北海道の歴史を感じることができる。
 薩摩藩と北海道開拓とのつながりは深く、初代の開拓史長官は黒田清隆だし、サッポロビールの創業者は薩摩藩留学生の一人だった村橋久成である。昨夜の飲み方の時、駒井先生が「北陸の武士は、屯田兵としてたくさん送られたみたいですよ」と話していた。
 北大への道すがら、紀伊國屋書店の前を通ったが、昨夜、駒井先生が「北の無人駅から」を二冊買ってきてくれて、それぞれに渡辺さんにサインしてもらった。その本のカバーは紀伊国屋のものだったので、きっとこの店で買い求めたのだろう。
 ところで「北の無人駅から」は「夜バナ」と同じ北海道新聞社からで、791頁の大作である。読破するには気合いを入れないと読み切れない。第一章「駅の秘境」と人は呼ぶ「室蘭本線・小幌駅」に始まり、7つの無人駅にまつわる「物語」で構成されている。読み始めると「予想通り」というべきか、「夜バナ」のときと同じように「渡辺ワールド」にいつの間にかはまってしまう。「北海道について書きたい、地方について書きたいとの思いで悪戦苦闘しながら最初の取材から12年、この本のための再取材から8年をかけて上梓に至った」と書かれているが、その執念は凄い。
 札幌駅に通じる高架橋の下をしばらく歩くと、北大の正門である。まず構内に入ってびっくりするのはその広大さである。広い緑の芝生の中を小川がさらさらと流れており、学生たちが思い思いに寝そべりながら憩いの一時を楽しんでいる。北方民俗資料館や各学部の建物を眺めながら、構内のはずれに位置している新渡戸稲造の胸像(五千円札で有名であるが、札幌農学校の二期生である)やポプラ並木にも行ってみたが、ポプラ並木は写真の方がきれいである。実際に行ってみてがっかりするのは、札幌時計台と同じかもしれない。
 今までいくつかの大学構内を歩いたことがあるが、やはり北大の構内は格別である。新緑の季節で、様々な花が咲きそろっている季節だったのかも知れないが、もう一度大学生活を送ることが叶うのだったら、ここに来たいと思うことである。孫たちにも勧めたいが、その時を見ることはなさそうである。