小柳正之先生(前)(2018/08/30)
長い人生にはその素晴らしい人柄に心を打たれ、思い出の中に強く残っている人がいるものである。弁護士の小柳正之先生は、私にとってはそのような人である。
私の部屋の壁には、吉井淳二画伯(文化勲章受章者)の奥さんに贈っていただいた「花籠」のリトグラフが掛けてある。吉井淳二晩年の作で、時年百寿と金箔の文字がある。連想ゲームではないが、「花篭」から「花筐」を思い出した。花筐は小柳正之先生から頂いた句集である。
その先生が亡くなられたような噂を聞いたことがあったので、確かめてみたいと思って国立病院機構都城病院の吉住副院長に電話してみた。私が南九州病院の院長をしていた頃に、国立病院機構の九州ブロックでは定期的に医療事故調停会議が開催されていたが、委員のお一人が小柳先生で、医療課長だった吉住先生は事務方のまとめ役だった。
先生なら知っておられるかもしれないと思ったのであるが、知らないという。調停会議の委員長だった「上野先生(前福岡東医療センター院長)なら知っておられるかもしれない」と思って早速電話してみた。先生は博多弁で「もうずいぶん前に亡くなっておらっしゃいます。脳卒中をされましてね。奥さんは小倉から東京に引っ越されました」と言うことである。
小柳先生は国立病院機構九州ブロック事務所の顧問弁護士であり、医療事故調停会議や拡大医療安全管理委員会で、常に冷静沈着で実に的確な判断を加えてくれる人だった。お年は当時、80歳に近くと思われるが、頭の働きはシャープで、またその判断には原告側の患者さんへの温かな思いも感じられ、決して医療側に偏することはなかった。私はこれまで弁護士という職業の人と親しく接する機会は少なかったが、小柳先生にお会いして、私の「弁護士観」をいい意味で一新してくれたものである。
先生には南九州病院時代に、ちょっと言いがかりとも受け取れる医療事故の収拾に苦慮していたとき、小倉のご自宅にお邪魔して相談したこともあった。この時も的確な判断を頂いて、大いに参考になったように記憶している。
その「花筺」を開いてみた。
ステンドグラスに映る唐草模様のような上品な装丁で、「句集 花筺 小柳正之」とだけ印字されている。サイン入りで、「数年前に出版したものですが、特にご好誼頂いた方のためにと残して置いたものです」との寄せ書きも添えられていた。
さてこの句集、平成14年までの223句が、一ページに一句ずつ掲載されている。まず「ランブル(小柳先生も同人)」の上田日差子主宰が、心の籠もった序句「あたたかや 日の香に満つる 花筺」を贈られ引き続いて、推薦の言葉が書かれている。
私の部屋の壁には、吉井淳二画伯(文化勲章受章者)の奥さんに贈っていただいた「花籠」のリトグラフが掛けてある。吉井淳二晩年の作で、時年百寿と金箔の文字がある。連想ゲームではないが、「花篭」から「花筐」を思い出した。花筐は小柳正之先生から頂いた句集である。
その先生が亡くなられたような噂を聞いたことがあったので、確かめてみたいと思って国立病院機構都城病院の吉住副院長に電話してみた。私が南九州病院の院長をしていた頃に、国立病院機構の九州ブロックでは定期的に医療事故調停会議が開催されていたが、委員のお一人が小柳先生で、医療課長だった吉住先生は事務方のまとめ役だった。
先生なら知っておられるかもしれないと思ったのであるが、知らないという。調停会議の委員長だった「上野先生(前福岡東医療センター院長)なら知っておられるかもしれない」と思って早速電話してみた。先生は博多弁で「もうずいぶん前に亡くなっておらっしゃいます。脳卒中をされましてね。奥さんは小倉から東京に引っ越されました」と言うことである。
小柳先生は国立病院機構九州ブロック事務所の顧問弁護士であり、医療事故調停会議や拡大医療安全管理委員会で、常に冷静沈着で実に的確な判断を加えてくれる人だった。お年は当時、80歳に近くと思われるが、頭の働きはシャープで、またその判断には原告側の患者さんへの温かな思いも感じられ、決して医療側に偏することはなかった。私はこれまで弁護士という職業の人と親しく接する機会は少なかったが、小柳先生にお会いして、私の「弁護士観」をいい意味で一新してくれたものである。
先生には南九州病院時代に、ちょっと言いがかりとも受け取れる医療事故の収拾に苦慮していたとき、小倉のご自宅にお邪魔して相談したこともあった。この時も的確な判断を頂いて、大いに参考になったように記憶している。
その「花筺」を開いてみた。
ステンドグラスに映る唐草模様のような上品な装丁で、「句集 花筺 小柳正之」とだけ印字されている。サイン入りで、「数年前に出版したものですが、特にご好誼頂いた方のためにと残して置いたものです」との寄せ書きも添えられていた。
さてこの句集、平成14年までの223句が、一ページに一句ずつ掲載されている。まず「ランブル(小柳先生も同人)」の上田日差子主宰が、心の籠もった序句「あたたかや 日の香に満つる 花筺」を贈られ引き続いて、推薦の言葉が書かれている。
