Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

健診模様(31)-巣に本(2本)の杉(2018/08/17) 

80歳を少し超えたご主人と70代後半の奥さんが、そろって一般健診にみえられた。
 ご主人はほぼ標準体重で、検査結果もさほど悪いところはないようである。「何か、運動でもされているんですか」と問いかけてみた。「いいえ、運動はしていないのですが、日曜大工というか、自己流で机を作っています。実は自分の山の杉を切らなくてはならなくなって、何本か伐採したんですよ。そしたら製材所で建築用材にしてくれたんです。でも使いようがなくて、家に積んでおいていたんですが、何かならないものかと思っていたら、机を作ろうと考えたんです。手先は器用でしたので、どうにか形になりつつあります・・・」「それはよかったですね。手先を動かすことは頭も刺激すると言われていますので、心身の健康にもってこいですよ」。
 私の生まれた時代は、国家事業として荒れ果てた山野に杉を植林しようという運動が盛んな時代で、日曜日には家族総出で植林していた時代である。子どもたちも手伝わされるというか、楽しく参加したものである。時代は変わって、今やこの植林した杉が、スギ花粉の元凶として悪者扱いされているというから、世の中のこと判らないものである。
 恐らくその頃だったかと思うが、家の庭の近くの畑に私が植林に使った2本の杉の苗木を植えたのだと思う。60数年近くが過ぎて、先日帰った時には真直ぐと上に伸びた大木と化していた。自宅を新築する気持ちでもあれば、床の間の支柱などにしたいのだが、そのようなことはないようである。
 この方のように、何らかの利用方法でもあれば思い出の作品としたいところだが、伐採して建築資材とするには大変なことになるだろう。放置されっぱなしだった日本の森林も少しずつ人の手が入ってきたようである。杉やヒノキが中国や韓国で見直され、輸出が始まってきたとも聞く。先日訪れた姶良の山奥の北山でもところどころに伐採現場がみられた。山林は国土保全の基本でもあることは、倒木が大洪水被害の元凶でもあることから立証されている。
 目先のことだけでなく、時代的な視点で山林保護を考える時にある。