人生は「きっかけ」で変わる(2018/08/10)
人生はさまざまな「きっかけ」で変わってくるものである。
私が難病を専門にする「きっかけ」となったのは、昭和39年前後に日本を震撼させたスモンの発生と、その原因がキノホルムであることを突きとめて鹿児島大学の教授となった井形先生の薫陶を受けることになったこと、そして入局後の国内留学先が重症筋無力症の基幹病院であったことなどに依るところが大きい。
以降、45年近く難病医療に携わってきたことになるが、そのご縁で平成27年に成立した難病法の審議の過程では国会に参考人として招致され、また皇居で両陛下に難病についてのお話をする機会を頂くこともできた。
とりわけ難病中の難病とも目されるALS(筋萎縮性側索硬化症)は今年亡くなられたホーキング博士で有名になったが、私とこの病気との出会いは昭和59年に遡る。アメリカ留学後に南九州病院で働き始めた時、当時大口保健所の所長をされていた浜田先生から「山野部落の43歳の男性がALSになり、自分で呼吸ができなくなってきている。親子3人で2年間も24時間ずっと胸押しをしているがどうにかならんかね」という一本の電話をもらった。「どうにかしないといけない」と、日本では初めての体外式陰圧人工呼吸器による在宅呼吸管理を始めたが、このことが「きっかけ」になって難病の在宅ケアシステムの構築につながった。
さて今年の3月15日、私が会長をしている平成29年度鹿児島県重症難病医療ネットワーク連絡協議会が開催された。難病患者療養状況についての報告がなされたが、鹿児島県の指定難病の総数は13,154人でパーキンソン病が2,182人、潰瘍性大腸炎が1,228人(クローン病530人)、SLEが1,004人となっている。
このうちALSの患者数は127人で、ここ10年ほどは120人台で推移している。療養場所は在宅が73人(57.5%)で、在宅療養者のうち人工呼吸器使用は32人(43.8%)である。人工呼吸器装着者数は56.7%と過去最高となり、このうち在宅が25.2%となっている。
ALS患者の療養生活、とりわけ人工呼吸管理を考える時、隔世の感がある。私が40年ほど前に在宅医療を始めたころは入院療養が主で、そのため入院病床確保には苦労した。的確な治療法のない難病では、療養生活が長期化するために、できることなら住み慣れた自宅で療養したいと希望する人は多かった。介護保険制度もない時代には家族介護に委ねられていたわけで、家族の大変さは想像するに難くない。
最近は鹿児島市のような都市部では、在宅医療や訪問看護体制も整ってきているし、人工呼吸器の性能も格段に進歩しているので、在宅人工呼吸管理も容易になっている。しかし離島などではそのような体制ができていないので、患者・家族にとっての状況は昔と変わりない。
そこで介護保険の使えない離島などで、「重度訪問介護で、在宅療養・介護生活を支えるための研修会を鹿児島で開く」ために、日本ALS協会鹿児島県支部事務局長の里中利恵さんが立ちあがった。現在、NPO法人「ALSかごしまサポートセンター」の設立を進めている。困難な事業になりそうだが、必要性と志があればきっとうまくいくと思っている。(鹿児島県医師会報)
私が難病を専門にする「きっかけ」となったのは、昭和39年前後に日本を震撼させたスモンの発生と、その原因がキノホルムであることを突きとめて鹿児島大学の教授となった井形先生の薫陶を受けることになったこと、そして入局後の国内留学先が重症筋無力症の基幹病院であったことなどに依るところが大きい。
以降、45年近く難病医療に携わってきたことになるが、そのご縁で平成27年に成立した難病法の審議の過程では国会に参考人として招致され、また皇居で両陛下に難病についてのお話をする機会を頂くこともできた。
とりわけ難病中の難病とも目されるALS(筋萎縮性側索硬化症)は今年亡くなられたホーキング博士で有名になったが、私とこの病気との出会いは昭和59年に遡る。アメリカ留学後に南九州病院で働き始めた時、当時大口保健所の所長をされていた浜田先生から「山野部落の43歳の男性がALSになり、自分で呼吸ができなくなってきている。親子3人で2年間も24時間ずっと胸押しをしているがどうにかならんかね」という一本の電話をもらった。「どうにかしないといけない」と、日本では初めての体外式陰圧人工呼吸器による在宅呼吸管理を始めたが、このことが「きっかけ」になって難病の在宅ケアシステムの構築につながった。
さて今年の3月15日、私が会長をしている平成29年度鹿児島県重症難病医療ネットワーク連絡協議会が開催された。難病患者療養状況についての報告がなされたが、鹿児島県の指定難病の総数は13,154人でパーキンソン病が2,182人、潰瘍性大腸炎が1,228人(クローン病530人)、SLEが1,004人となっている。
このうちALSの患者数は127人で、ここ10年ほどは120人台で推移している。療養場所は在宅が73人(57.5%)で、在宅療養者のうち人工呼吸器使用は32人(43.8%)である。人工呼吸器装着者数は56.7%と過去最高となり、このうち在宅が25.2%となっている。
ALS患者の療養生活、とりわけ人工呼吸管理を考える時、隔世の感がある。私が40年ほど前に在宅医療を始めたころは入院療養が主で、そのため入院病床確保には苦労した。的確な治療法のない難病では、療養生活が長期化するために、できることなら住み慣れた自宅で療養したいと希望する人は多かった。介護保険制度もない時代には家族介護に委ねられていたわけで、家族の大変さは想像するに難くない。
最近は鹿児島市のような都市部では、在宅医療や訪問看護体制も整ってきているし、人工呼吸器の性能も格段に進歩しているので、在宅人工呼吸管理も容易になっている。しかし離島などではそのような体制ができていないので、患者・家族にとっての状況は昔と変わりない。
そこで介護保険の使えない離島などで、「重度訪問介護で、在宅療養・介護生活を支えるための研修会を鹿児島で開く」ために、日本ALS協会鹿児島県支部事務局長の里中利恵さんが立ちあがった。現在、NPO法人「ALSかごしまサポートセンター」の設立を進めている。困難な事業になりそうだが、必要性と志があればきっとうまくいくと思っている。(鹿児島県医師会報)
